PIST6、半年間の開催休止へ。

千葉市の「TIPSTAR DOME」で開催されている、新しいスタイルの競輪「PIST6」ですが、開催形態の見直しを理由として10月から開催を休止すると発表しました。来年3月までの半年間を予定しています。


ネーミングライツからも分かる通り、PIST6の車券は開始当初ミクシィ傘下の「TIPSTAR」で独占販売されていました。その後、2023年7月には「PIST6公式投票サービス」が加わりましたが、販路が限られている状況です。再開後は「発売チャネルの拡大」を予定しているとのことで、他のサービスからでも購入できるようになる可能性が高いです。

PIST6は2021年10月に開始された、競輪というより「KEIRIN」に近い新しいレースです。国際ルールに近づけ、コースも木製の250mバンクで行われています。シンプルでわかりやすいレースが売りである一方、競輪でみられる駆け引きは期待できません。ですから、従来の競輪ファンよりも新たなファン獲得が目標となります。


コロナ禍が収まらない中で開始しただけに、当初は無観客での開催が続きました。また、国際的に活躍する選手の輩出を目的としながらも、海外の選手を招待することもできない状態だっただけに、なかなか苦しかったというのは理解します。


スタートダッシュにつまずき、その後なかなか浮上できなかったというのが現状であり、千葉市が期待していたほどの売上はあがっていないとのことですが、細かい要因については詳しい人の解説に委ねることにします。

TIPSTAR DOMEは老朽化していた旧千葉競輪場を取り壊して建設されたもので、資金は判定写真機などを製造する株式会社JPFが提供しました。建設費は約70億円で、それを含めてPIST6には総額100億円以上の投資を行ったとされます。


JPFは千葉市から委託を受けてPIST6の運営を請け負っていますが、JPFのWebサイトには代表取締役社長のコメントとして「当社単体でのマーケティングには限界があり、このままPIST6事業を継続することは経営戦略上困難となりました。」と記されています。

実際にPIST6の運営を行っているのは、JPFの子会社である株式会社PIST6です。当初はミクシィとの合弁会社として設立されましたが、開始から1年が経過した2022年10月には出資を引き上げ撤退しています。また、上述の通り2023年7月に「PIST6公式投票サービス」が開始されていますが、このサービスもJPFが自ら運営するものであり、ミクシィとの距離感は遠ざかっていきます。


JPFが「当社単体での~」と記している以上、現時点でミクシィは本当に何も関与していないのでしょう。また、競輪側でも従来の「ガールズKEIRIN」に加えて、「KEIRIN ADVANCE」という国際ルールで実施する競走が始まっています。KEIRIN ADVANCEはある意味救いの手であるとも考えられ、将来的には統合のシナリオも考えられます。

TIPSTAR DOMEは10年間のネーミングライツ契約を結んでいますが、権利を持ち続ける意味も薄そうです。開催がないことを契約違反だとみなせば、途中解約につながる可能性もあります。すばらしい会場であることは間違いないので、なんとかアイデアをひねり出して復活の道を歩んでほしいと期待しています。

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