Netflix、WBCの放映権料は? CM料金は?
来年のWBCがNetflix独占になったことはご存知の通りですが、放映権料は非公開であり、報じるメディアによっても見解が割れており、50億円とするメディアもあれば、150億円とするメディアもあり、バラバラです。ただ、前回大会(2023年)が30億円程度であったということはおおむね一致しています。
価格をつり上げたのは主催者であるWBCIということになりますが、最初から高値を提示していたのか、それとも複数社の競合になって高くなったかは不明であり、今後の報道が待たれます。当初は前回と同じTBSとテレビ朝日で交渉が進んでいたとされますので、その後Netflixが登場したものと推測されますが、そこに例えばAmazonであったり、さらなる未知の存在が絡んでいた可能性も否定できません。
前回大会の視聴率は軒並み30%台後半を記録し、準々決勝のイタリア戦では44.0%に達しました。Amazonの配信を含めると、さらに数%上乗せされると考えてよいでしょう。
それでも、テレビ局は赤字だったと報じているメディアもあります。結果的に日本は優勝を果たしましたが、CMを販売する時点ではどこまで勝ち進むか分からず、視聴率も確約できないという部分はあります。しかし、次回については最低でも4試合、最大で7試合の日本戦があり、30%以上の視聴率はほぼ確約されていると言ってよいはずです。
それにも関わらず採算がとれないのであれば、その理由としては「日本のCM料金が安い」という話になってきます。もちろん広告費は最終的に我々消費者の負担となるわけですから、高いほうがいいとは言えませんが、少なくとも海外との競争では不利になります。
では、Netflixはどのようにして採算をとるのかというと、WBC単体での黒字は想定していないでしょう。新規加入者が増える起爆剤となれば、中長期的には充分ペイすると考えているはずです。野球好きでまだNetflixに入っていない層だと、おもに中高年層になるでしょうか。WBC(MLB)側としては、普段テレビを見ていない(けどNetflixはよく見ている)若者層へのリーチが狙いとなります。
かと言って視聴料金だけで採算をとるわけではなく、CMが入ると想定されます。Netflixは現在「広告つきプラン」を展開していますが、ヘルプページによるとライブイベントでは「プランに関わらず広告が表示されることがあります」と書かれています。
https://help.netflix.com/ja/node/126831
スポーツ中継、それもCMを入れやすいフォーマットである野球中継でCMを入れないという選択肢はありません。前回大会のAmazonプライムでもCMは入っていたと記憶しています。
昨年Netflixが独占配信した、NFLのクリスマスゲームの実績を紹介すると、以下の通りになります。
- 放映権料: 2試合で1.5億ドル
- CM料金: 500万ドル (30秒×8回)
- 視聴者数: アメリカ国内で平均2,400万人
この記事にはスーパーボウルのCM料金が30秒で700万ドルという記述もあり、さすがにこれと比較すると及びませんが、CM8本のセットで500万ドルというかなり強気な料金設定を行っています。それでもきっちり完売するのですからお見事です。
具体的なクライアント数は公表されていません。おそらく、CM料金だけでは放映権料をペイするまでには至ってないと思われますが、成果としては十分です。
ちなみに、一昨年のクリスマスゲームはテレビで中継されましたが(FOXとCBS)、視聴者数は平均2,900万人だったとのことです。Netflixに移行して減少が懸念されましたが、実際には15%程度の下落で済んだとも言えます。今年の中継ではさらに数字を伸ばすことでしょう。
今後、WBCで流れる広告のセールスが進んでいくものと思われます。WBCのスポンサー(未発表)、侍ジャパンのスポンサー、そして正式に参加表明があれば大谷翔平選手のスポンサーなどがターゲットになっていくものと思われます。
実際に何社集まるかはNetflixの腕の見せ所です。WBCについてはMLB中心の運営が取り沙汰されており、そこにアメリカ資本のNetflixが飛び込んできた構図ですから、まぁ裏ではいろいろと感情が渦巻いていることでしょう。
視聴率40%を人数に換算すると5,000万人程度になります。実際にそこまで契約を伸ばせるとは思えませんが、上記NFLの試合の倍程度のポテンシャルはあることになります。
そうなると、強気にいけばCM料金は1,000万ドル、日本円にして15億円程度を提示してもおかしくないという計算になりますが、実際問題として日本はアメリカよりも広告単価が安いとされていますので、実際にはその何分の一とかになりそうです。それでも億を超えてしまいますが。
広告単価の差は物価やGDPの違いだけでは説明できず、日本国内の商習慣の違いもあるようです。料金が上がらないと民放テレビ局のビジネスも成長が見込めないので、Netflixが強気になって広告料金を引き上げてくれれば、実はテレビ局にとっても好影響を及ぼすかもしれず、このあたりは複雑なところです。
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