MLB、Apple撤退で見解割れる。ESPNの穴は埋まるか?
今年限りでMLBとESPNの放映権契約が終了する件で、その後釜をめぐる報道が二転三転しています。というか、ESPN以外の権利で騒がしくなっているので、いわば玉突き事故のようなものでしょうか。
今回問題になっているのは、Appleが保有する「Friday Night Baseball」の放映権で、AppleがESPNと同様に契約を途中解除し、MLBから撤退するという報道が出ているのですが、その一方で撤退しないという報道も出ており、記者のあいだでも見解が割れているのです。
もしAppleが撤退した場合、その権利をNBCが引き継ぐと言われていますが、もし撤退しなかった場合、今度はSTB(セットトップボックス)大手のRokuが保有している「MLB Sunday Leadoff」の権利が狙われているとも言われています。
この権利ですが、2022年からNBCが年間3,000万ドルで契約していたものです。その後、契約を更新せず2024年からRokuに移りましたが、年間1,000万ドルに値下げされました。Rokuは無料配信を行っているため、それでも結構な負担ではあるようです。NBCにとっては他の権利もセットで獲得できるのであれば、買い戻すだけの価値はあると踏んでいます。
さらにさかのぼると、2021年までこの試合の権利はESPNにあったのです。2022年からの現在の契約では、放映権料を年間7億ドル→5.5億ドルに減額するかわりに一部の権利が切り離され、AppleとNBCに移りました。Appleは8,500万ドル、NBCは3,000万ドルで契約したため、ESPNが支払っていた1.5億ドルが、2社合計で1.15億ドルに下がったことになります。
さらにNBCからRokuに移って、放映権料はさらに下がりました。ESPNにとっては手放した権利とは言え、価値が下がることに納得できず、今回のオプトアウトにつながる要因のひとつになったとも伝えられています。
- ESPNが保有する権利 (今年限りで終了)
- 日曜夜の試合 (Sunday Night Baseball) →NBCが獲得?(2億ドルとの報道も)
- ホームランダービー (オールスター前日に開催) →Netflixが獲得?(3,500万ドルとの報道も)
- ワイルドカードプレーオフ →NBCが獲得?
- Appleが保有する権利 (2028年まで契約)
- 金曜夜の試合 (Friday Night Baseball) →Appleが撤退ならNBCに譲渡?
- Rokuが保有する権利 (契約年数は非公表)
- 日曜昼の試合 (MLB Sunday Leadoff) →Appleが撤退しないならNBCに譲渡?
ESPNが支払っている年間5.5億ドルの放映権料については、後釜とされる各社だけで埋めることはできません。しかし、ESPNは引き続きMLBの中継を続ける方向で交渉しており、「MLB.TV」の買収や、MLBが直轄している5球団のローカル放映権を獲得するとされています。さらに、追加で30試合を全米向けに中継するという案も出ているようです。
こういった新たな材料を差し出すことにより、ESPNから新たに得られる金額を含めると、5.5億ドルを上回る規模になると想定されています。これで穴が埋まったというのは正直おかしい気もしますが、収入としては従来よりも増えることになってしまいます。
これらの契約はすべて2028年までであり、2029年以降の枠組みがどうなるのか、いまから争いが始まることになります。先日のWBCの件をふまえると、Netflixがかなりの脅威になりそうですね。
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