WBCの前例? 豪Amazonのクリケット配信が物議。

オーストラリアのAmazonは、9月30日に開幕するクリケットの女子ワールドカップについて、全試合を無料配信すると発表しました。


一見すると日本とは全然関係ない話で、なぜ当ブログが取り上げるのか?と思われるかもしれませんが、WBCのNetflix独占によって話題となっている「ユニバーサル・アクセス権」を考えるうえで、この事例は実に面白いと思いました。

オーストラリアにもユニバーサル・アクセス権を定義した「反サイフォン法」という法律が存在しますが、Amazonはこの法律の抜け穴を突いていると批判されています。オーストラリアの無料放送局によって構成される団体「Free TV」は声明を出し、ストリーミング大手がオーストラリア人の権利を脅かしていると批判。政府に規制強化を求めています。


要するに、我々無料放送局にサブライセンスを出さなかったのはけしからんという話で、これだけだとわがままなように感じるかもしれませんが、Amazonは2027年の男子ワールドカップについても独占放映権を確保しているため、今回の無料配信をエサにして、次こそは有料にするのでは・・・と警戒しているのです。

そもそも、反サイフォン法は放送局を対象としており、ストリーミングサービスは対象に含まれていません。この問題はユニバーサル・アクセス権の本場とも言えるイギリスも抱えており、ストリーミング業者を対象に加えるかどうかが議論になっています。


今回のように、ストリーミング業者が放映権を独占した場合にどう対応するのか。しかも相手は外資企業であり、交渉は厄介です。今回オーストラリアで起こっていることは、現在日本で起こっていることに通じるというわけです。野球とクリケットは兄弟ですからね。

反サイフォン法で指定されている競技のリストをみると、クリケット・ワールドカップについては「オーストラリアまたはニュージーランドで開催される」オーストラリア代表戦(男女共)、および決勝戦が対象となっています。今回の大会も、2027年の男子の大会も開催国は異なりますので、無料放送の義務はありません。


なので、Amazonからしてみれば別に悪いことはやっていないし、全試合無料にすることで充分な配慮を示したと思っていることでしょう。「Free TV」は、開催国に関わらずすべての代表戦をリストに加えるべきだと主張しています。

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