英BBC、100年続くウィンブルドン中継がピンチか。

イギリスの公共放送・BBCは、テニスのウィンブルドン大会の中継を1927年から行っています。当時はもちろんラジオでの中継で、1937年からはテレビも始まっています。BBCの歴史はウィンブルドンとともにあると言っても過言ではありませんが、2028年以降の契約更新が微妙になっていると報じられています。


その理由は、もはや聞き飽きたかもしれませんが放映権の高騰です。現在の放映権料は年間6,000万ポンド(約120億円)程度とされますが、年内にも行われる予定の入札では、新たな業者の参入が噂されています。

その筆頭がTNT Sportsです。今年の大会で、TNTは決勝戦の生中継の権利をBBCと共有し、また毎日のハイライトを放送しました。この権利は2016年にディスカバリー(現WBD)傘下のユーロスポーツが獲得したもので、その後業界再編を経てTNTとなっています。

もしBBCが放映権を逃せば、100年間継続してきた放送が途絶えるピンチです。イギリスではユニバーサル・アクセス権が確立されており、ウィンブルドンについては決勝戦の無料放送が義務付けられています。よって、TNTが獲得したとしてもサブライセンスを出すことになりますが、その相手がBBCである必要もありません。


BBCは2週間にわたる全日程を徹底的に中継しています。もちろん伝統だからなんですが、高額な放映権料を支払ってまでやることか、という批判は当然出てくることになります。BBCの今後のあり方についてもいろいろ議論されているそうですが、現時点ではBBCの財源は受信料です。

ディスカバリーは、ヨーロッパにおいてオリンピックの放映権を独占したという事例があります。その後、各国で制定されているユニバーサル・アクセス権の法律に基づいてサブライセンス契約が進められましたが、結果として無料放送の時間は減ったとされます。


IOCも反省したのか、2026~32年の放映権についてはWBDに加えてEBU(欧州放送連合)とも契約し、各国での無料放送を確約させました(夏季200時間、冬季100時間)。

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