高騰続くチケット代に相次ぐ悲鳴。
購入タイミングによって値段が変わる、ダイナミックプライシング(以下DP)。ホテルや航空会社では当たり前のシステムですが、プロスポーツにおいても急速に普及しています。
最近のニュースでは、Jリーグの名古屋グランパスが「個席」単位でのDPを導入すると発表しています。従来は席種(カテゴリー)単位での価格設定だったのがさらに進化した形です。今後も追随するところが増えるでしょう。
DPを導入する目的は売上の最大化にあります。席数に限りがある以上、満員になればあとは価格を上げるしかありません。
最近新たにDPを導入した事例といえば、サッカー日本代表戦です。10月14日に開催されたブラジル戦は、日本が逆転で初勝利をあげるという劇的な展開に。チケット発売当初は「対戦国未定」となっていましたが、ブラジルに決定すると価格もかなり高騰したようです。
「カテゴリー1」の価格をみると、販売開始価格は21,400円となっていますが、最終的には7万円を超えたとされます。チケット代が高すぎると抗議する横断幕が掲げられたとも聞きます。
満員確実なイベントとは裏腹に、集客に苦戦したイベントもあります。10月16日に開催されたクライマックスシリーズのソフトバンクvs.日本ハム戦です。毎日新聞によると、試合開始時点では空席が目立っており、ソフトバンク関係者も「想定外」とのコメントを出しています。
まだ決着がつかない第2戦というタイミングですし、平日開催ですから試合開始に間に合わない人も多いでしょう。また、最終的に観客数は39,337人と発表されており、第1戦(40,066人)とさほど変わらなかったことも記しておく必要があります。正直、この数字がどこまで信頼できるのかという問題もありますが。
DPといえば値段が高すぎるという話ばかりが先行しますが、本来であれば人気のない試合については大胆に値下げしてでも動員を確保することが大切でしょう。日本でもそういう事例はないわけでもありません。神宮球場のヤクルト戦の外野席が「500円」になったという記事が出ていました。ただ、これは当初の価格設定に失敗したとしか思えませんが・・・
こちらはDPを導入した事例ではないのですが、横浜DeNAがクライマックスシリーズにおいて、ビジター(巨人)の応援席をウィング席に追いやった問題についても取り上げる必要があるでしょう。
DeNA関係者は、360度青い空間を演出するために批判覚悟でやったという話をしています。ただ、今後はレギュラーシーズンでも導入するという噂も流れており、今後の動向を注視する必要があります。売上の最大化は重要な視点ですが、短期的な施策と中長期的な施策のメリハリが必要です。DPも含め、やりすぎは禁物だと言えます。
筆者は長年の横浜ファンなのですが、かつての気が向いた時にハマスタに行っていた時代が実に懐かしく思います。最近はすっかり足が遠のいてしまいました。もちろん、かつての閑古鳥が鳴くハマスタが連日満員になったことは嬉しく思いますが・・・まぁ、それも時代の流れということです。
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