してやったり?巨人、DAZNを最大活用。
巨人戦がDAZNで配信されることが決まった。去年も今年も交渉は続けていたとのことだけど、ようやく折り合いがついた。
フロントの補強の方針はよくわからないけど、この方針はよく理解できる。このタイミングは絶妙だと言える。
最初に報道したのがサンケイスポーツだというのがまた意味深。つまりヤクルトとフジテレビも巨人と日テレの動向を気にしていた。そして、ヤクルトが契約を更新しないことを決めた矢先に巨人は契約することを決めた。
これによって巨人のイメージは上がる。逆にヤクルトと広島のイメージは下がる。DAZNにとっても、あの巨人を口説き落とした黒船、というイメージがつくのは悪くない。
とはいっても、大事なのは名よりも実。巨人と日テレにとって、失うものよりも得られるものが多ければ契約する価値はある。そして、よく考えてみると失うものは少ないことがわかる。
そもそも巨人戦が観られるからDAZNと契約する、というユーザーは少ない。理由は単純でセ・リーグ6球団が揃ってないから。AbemaTVで無料配信している横浜を除けば、どの球団が抜けてもDAZNの価値は半減する。
BS日テレを観られる人はそちらを観るだろうから、視聴者が奪われる心配も少ない。また、BSの民放局の視聴者は高齢者か多い。BSを視聴できる環境にない人や、より若い年齢層にアプローチできるという点は、巨人にとってはメリットと言える。
日テレジータスはスカパーでもCATVでも何かしらのセットに組み込まれていることが多いチャンネルであり、単独の契約者はごくわずか。解約者を多く見積もる必要はない。
自前で運営する「ジャイアンツLIVEストリーム」はそれなりに会員が流出するだろう。
ただ、これによりプレミアムなサービスに特化できる。パ・リーグが自前で「パ・リーグTV」を運営しているのと同じ。松竹梅のコースがあるとすれば、自らは松を提供して、竹梅は他社にやってもらうほうが効率的。
最後はHulu。こちらもある程度流出するだろうけど、何かしらの視聴データをもとに判断しているのではと推測。
例えば巨人戦の視聴者が他のコンテンツに興味を示さない傾向が出たとすれば、他のコンテンツにも触れてほしいという目論見は崩れる。シーズン終了後の解約数も見ているだろう。
HuluもDAZNも定額制のサブスクリプションモデルであり、お互いの課題はよく分かっているに違いない。
また、Huluは一時期日テレの100%子会社だったけど、現在は米Huluを含む数社が出資している。そして米Huluは昨年ディズニーの傘下に入った。別の意味でも、Huluの今後の動きには注目せざるを得ない。
ということで、巨人にとって決して損な契約ではないと筆者は考える。ならば、DAZNはなぜここまで粘り強く交渉して巨人を引き入れたのか?
それは、将来的に12球団の権利をすべて獲りに行くという意思表示だと捉えたい。今年がダメでも来年がある。ヤクルトと広島に対しては強力なメッセージとなる。
ヤクルトと広島の判断は果たして正解なのか。スカパーのプロ野球セットの契約数は伸びるのか。すべては数字によって証明されることになるだろう。今年は我慢の年になる。
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