【将棋】編入試験資格3回でプロ棋士の新案
日本将棋連盟は、6月5日に開かれる棋士総会にて、「プロ編入試験の受験資格を3回獲得した者には、試験を免除して四段昇段(=プロ編入)を認める」という案を呈示すると報じられています。すでに2回受験し、ともに不合格となった福間香奈女流五冠を念頭に置いたものであることは明らかです。
昨年可決された「白玲位通算5期」というルールも、4期獲得している西山朋佳女流三冠を念頭に置いたものであり、「女性初のプロ誕生」という話題作りをしたい意向が伝わってきます。
それはスポンサーの意向なのでしょうか。少なくとも、彼女たちが自ら強く望んでいるようには感じられません。くれぐれも彼女たちに批判の矛先が向かわないことを願います。
とにかくジェンダーが絡む話はネットが荒れますので、個人的にはあまり話したくないというのが正直な気持ちです。両側から極端な意見が飛び交うのがSNSです。ただ、昨年の白玲位5期の際には取り上げましたので、何も書かないのも整合性がとれないかと思い、なるべく一般化させたうえでお伝えします。
当ブログがたびたび将棋の話題を取り扱っているのは、単純に筆者の趣味であることに加え、将棋をスポーツの一種(いわゆるマインドスポーツ)としてとらえているからなのですが、こういう問題が出るたびに、プロスポーツとはまた違う世界であることを感じざるを得ません。自分が書けることは、この感覚を記すことだろうと思いました。
もしスポンサー筋の意向が強いのであれば、「マネーがルールを変える」事例のひとつとしてとらえることができるでしょう。プロスポーツではよくあることです。スポーツが持つ高潔さや公平性をちょこっと犠牲にして、マネーに変換するのです。
最近の事例だと、Jリーグが2015年に「2ステージ制」を復活させたことを思い出します。「地上波での放送」というエサと引き換えにルールを変えたのです。
藤井聡太ブームがひと段落し、将棋連盟の財政は決して安泰とは言えません。これまで将棋界を支えてきた新聞社は苦しくなる一方。お隣の囲碁界からも暗いニュースが聞こえてきます。いまだからこそ何かしらの手を打ちたい気持ちは伝わってきます。
最近では、伊藤匠二冠がアパホテルのCMに出演。まもなく開幕する「ABEMA地域トーナメント」では、参加する8チームのうち3チームにスポンサーがつきました。これは、同じABEMAで配信されているMリーグの影響も受けているでしょう。こういう努力は純粋に買いたいところです。
「公平性を犠牲にして」と書きましたが、本当に公平なのか、という疑問は常に持ち続けたいもの。編入試験は五番勝負で行われますが、たった(最大)5戦で実力をはかってよいものか。また、三段リーグは人数過多で総当たり戦になっていませんが、それでよいのか。順位戦C級2組の昇級枠は3人でよいのか。などなど、常に疑っておくべきでしょう。
そして、もっとも疑うべきは、プロ棋士になることの重みがあまりにも大きいことだと考えます。いったんプロ棋士になれば、よほどのことがない限り、60歳頃まで生計を立てることができるのですから、まさに一生を賭けるに値するものです。
棋士への最終関門である三段リーグは残酷なものです。棋士になれるのは(原則として)年間4人のみです。そもそも人数を抑制するために作られたこの制度ですが、我々ファンもその残酷さをドラマとして消費しすぎてきた感があります。勝った者にも、敗れ去った者にも大きなドラマがありますが、その裏返しとして、編入試験などの別ルートを否定する意見が強くなってしまうわけですね。
将棋連盟は公益社団法人であり、運営を正会員(棋士と一部の女流棋士)が行っていることも大きな特徴であり、他のプロスポーツと大きく異なる点です。スポンサー獲得が入口の問題ならば、棋士に関する制度の整備は出口の問題です。今回の問題は、つまるところ経営方針の問題ということになります。人事制度の問題と言い換えてもよさそう。
ここからはあくまで個人的な意見ですが、他のプロスポーツをいろいろ見てきている者としては、ゴルフやテニスなどの制度を参考にすべきではと思っています。ランキング制度(順位戦ではなくレーティングをベースにしたもの)をきちんと整備して、待遇にメリハリをつけるといった感じでしょうか。
であれば、棋士の数はもっと増やせるかと思いますし、男性女性という話ではなく、これまで紙一重のところでチャンスを逃してきた人たちへの救済にはなるのではと。まぁ、そういう案が連盟内部から出てくることはまずあり得ないわけですが。
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