世界記録1個にとどまったEnhanced Gamesの今後
現地時間の5月24日に開催されたエンハンスト・ゲームズ(Enhanced Games)。期待されていた世界記録はなかなか出ず、このまま終わるかと思われましたが、最終種目の水泳・男子50m自由形で世界記録が生まれ、なんとか体裁を整えた感じです。
もっとも、選手はかつて「レーザーレーサー」が一世を風靡したことで知られる、いわゆる高速水着を着用していました。記録のどこまでが薬物使用に起因しているのか、正直わかりません。これでよかったんですかね。
自己ベストを更新した選手は13人おり、「自らの限界を超える」という意味ではそれなりの結果が出たとも言えますが、対外的なアピールのためには世界記録が求められました。
また、優勝者のうち3名は、薬物を使用していないと宣言しています。その中には陸上・男子100mのフレッド・カーリー選手も含まれています。これらの選手たちは何のために戦っているのか。単なるマネーなのか。出場停止中の大物選手を呼ぶという主旨は理解できても、勝たれてしまうのは期待通りだったのでしょうか。
市場も今回の結果については厳しい評価を下しているようで、主催者であるEnhanced Group Inc.社の株価は、大会終了後に急落しています。
この会社がニューヨーク市場に上場したのは5月8日、つまり最近のことです。それ以前は"A Paradise Acquisition Corp."という会社であり、SPAC(特別買収目的会社)と呼ばれるものです。簡単に言うと、箱となる会社を先に上場させ、後に買収した会社と合併させるのです。それゆえ「裏口上場」などと揶揄されることもありますが、認められている方法ではあります。
SPACに出資していた株主も、まさか対象がEnhanced Group社になるとは思っていなかったようで、ほとんどが資金を引き揚げてしまったとのこと。結果、2億ドルの資金が流出し、上場による資金調達計画は崩れました。現時点では、すでに破綻の危機にあると言ってもいいような状況です。
以前も触れた通り、今後は選手たちが使用した薬物やサプリなどの通販事業で収益をあげていくようです。これらはスポーツ界では禁止されていますが、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けたものだとしています。
ドーピング検査を受けるわけでもない、アマチュアには受け入れられる可能性があります。いわゆるカジュアルなドーピングです。手っ取り早く理想の肉体を手に入れたいという願望は、アスリートだけでなく、誰もが内在しているものと言えます。痩せたいとか、長生きしたいとか、欲望は尽きることがありません。人間にとって永遠のテーマです。
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