Apple、サブスクリプションに本腰。

恒例のAppleによる新商品発表会はこれまでと異質なものになった。新ハードについては事前に発表してしまったのである。

そして、発表会で改めて公開されたのは、動画ストリーミングの「Apple TV+」や、ニュース・雑誌の「Apple News+」、ゲームプラットフォーム「Apple Arcade」などといった、いわゆるサブスクリプション(定額制)サービスが中心だった。
この記事が分析している通りで、Appleのハードウェアは今後頭打ちになるであろうことは十分予測できること。その前にサービスを強化して新たな収益の柱を作ろうとしている。
また、個人情報をサーバに送信せず端末内にとどめると方針を強調しているのは、いわゆるGAFAと呼ばれる他社を牽制するとともに、今後もApple製品を使い続けてほしいという差別化をはかった動きだろう。

AmazonのiTunesやAmazonのKindleなどが行ったのは「モノのサービス化」。いわゆる、なんとか as a serviceと呼ばれるもの。購入したコンテンツは基本的にアカウントと紐付けられ、決まった端末やアプリの中でしか再生できない。こうすることで囲い込みをはかってきた。

サブスクリプションに舵を切るということは、今度は「ユーザーの可処分時間を囲い込む」ということ。音楽ならば他のことをしながら聴くこともできるけど、動画や電子書籍では難しい。与えられた時間はみんな平等。その中で自社サービスをどれだけ使ってもらえるかの競争となる。

Appleがスポーツ中継に手を出すかは現時点では不明だが、テレビを再配信する「Apple TV Channel」によって間接的に関与している。似たことはGoogleも「Youtube TV」でやっている。
かたやAmazonやFacebookはスポーツの放映権を積極的に購入しており、GAFAの4社でも対応が分かれる形となった。

GAFAによる神々の殴り合いはすなわち我々の可処分時間の奪い合い。もちろん我々も出せる金額には限度がある。使える時間は何時間で、それに出せる金額はいくらか。コンテンツの内容に加えて、価格設定もまた勝敗を分ける大きな要因になるだろう。
話はちょっとそれるけど、Googleが発表したゲームプラットフォーム「STADIA」も気になる存在。ソフトウェアはクラウド上で実行し、端末には動画を送る。いわゆるシンクライアントと呼ばれるもののゲーム版にあたる。

同様の発想は以前から存在していたが、タイムラグによる操作の違和感が課題となっていた。Googleが自信を持って送り出す以上、タイムラグは気にならないレベルまで低下したものと解釈してよい。

そして、この技術はとかく遅延が問題とされるライブ配信に対しても大きなヒントを与えてくれる。GAFAによってビジネスモデルもテクノロジーも大きく変化するであろうことを実感させられる最近の出来事でした。

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