初の日本代表戦配信。DAZNとコパ・アメリカのいろいろ。

DAZNが全試合独占配信ということで話題の南米選手権(コパ・アメリカ)。先日日本代表の初戦であるチリ戦が配信されました。
DAZNにとっては初めて日本代表戦を配信できる大チャンス。これまでアプローチできなかったライト層にアピールする機会を得ました。

当日朝のTwitterの状況をウォッチしておりましたが、案外多かったのが、当日テレビをつけてEPG(電子番組表)を確認したらどの局もやっておらず、そこでDAZN独占に気づいたという人。
代表戦=地上波という意識がそこまで深く根付いていることに改めて驚きました。キックオフが早朝であることは知っているのに、どこで見られるのかは知らないのです。
これを切り崩すのだからDAZNは大変だ。でも、それは裏返せば大きなビジネスチャンスだと言えます。

で、よく言われるのがDAZNがコパ・アメリカの放映権を「強奪した」というもの。これはまったく反対で、実際にはテレビ局が降りたのでDAZNが手を上げただけなのです。ちなみに代表戦が無料放送で中継されなかったのは9年半ぶりとのこと。
当時を振り返ってみれば、選手の拘束力がなくメンバーが揃わないであろうことは事前にわかってましたし、同時期にU-20ワールドカップ、トゥーロン国際大会があってさらにメンバーが割れることもわかってました。
また、同時期に女子ワールドカップもあり、放送枠を確保しにくかったことは明白です。久保くんの台頭は遅すぎました。

そして、平日朝8時キックオフという時間ははっきり言って最悪です。各局がワイドショーや情報番組で競い合うこの時間帯は、番組ごとに固定客がついています。さらに朝ドラもあるのです。
ここでサッカーを放送することは、わざわざ固定客を他局にリリースすることと同義です。コパ・アメリカがこのリスクをとれるほどのバリューを持つ大会であるかと言えば、正直違うでしょう。

今回のコパ・アメリカは電通がグローバルで放映権を持っています。電通は当然ながらCONMEBOL(南米サッカー連盟)の収益を最大化する義務があり、テレビ局が難色を示すのであればDAZNに持っていく、というのは合理的な選択だったと思います。民放ならレギュラー番組のスポンサーを説得する必要もあったでしょうし。 

ちなみに当初は電通ではなく毎度おなじみMP&Silva社が権利を持っており、MP社の破綻によって電通に移動しました。限られた時間の中で、電通はぎりぎりまで放映権の交渉を続けていたようです。
DAZN独占配信とは言いつつも、無料で見られる手段も用意しておこうというわけで、2試合がヤフーとスポーツナビで配信されることになりました。もちろんこれはDAZNのプロモーションの一環です。配信のリンクにはきちんと[PR]と書かれておりました。

土曜朝に配信された開幕戦(ブラジルvsボリビア)ですが、試合終了直前に確認したところ、視聴者数は31万人と表示されておりました。
次の日本戦(vsウルグアイ)ではこの数字がどれだけ跳ね上がるか。この数字がすなわちDAZNの潜在顧客を示す指標となりますので、できれば確認したいと思います。もっとも、PC版ヤフーのトップページでの配信とのことで数字が表示されないかもしれませんが…
気になる放映権料の話も少ししておきます。DAZNは日本以外ではスペインとイタリアでコパ・アメリカを配信しておりますが、スペインでの放映権料が150万ユーロ(約1.8億円)だと報じられています。まぁ、電通は頑張って売ったのではないかと。

日本の放映権料は不明ですが、日本代表が出場することのプラスと、時差のマイナスを掛け合わせるとさほど変わらない水準に落ち着くのかな…と。ただ、事前番組などに力を割いていることから、費用面ではスペインよりかかっていてもおかしくないでしょう。

とにかく新規会員の獲得にはコストがかかるわけで、そんな中降ってわいたチャンスを逃すわけにはいきません。今回の取引が果たしてペイできるものだったかは、近いうちに判明するでしょう。 

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