米ディレクTVに相次ぐ苦境。でもNFLの放映権は死守?
アメリカの衛星放送大手「ディレクTV」が2020-21シーズンまで保有しているNFLの放映権について、NFL側が中途解約のオプションを行使するのでは?という話題を以前に取り上げましたが、現時点での流れでは行使しないほうに向かいつつあるとのこと。
これによって、Amazon・ESPN・DAZNといった参入をめざしていた企業にとってはいったんお預けを食らうことになる。
とは言っても、現在は通信会社のAT&Tの傘下にあるディレクTVにとっては今後苦難の道が待っている。年間15億ドルという莫大な放映権料をペイできるだけの巻き返し策はあるのだろうか。
最近では米4大ネットワークの一角であるCBSとの契約更新が難航し、コンテンツ供給が止められるという事態が発生した。CBSもまたNFLの一部試合の放映権を保有しており、せっかく自らの権利を守ったところで、放送される試合数については結局減る可能性も。
【追記】
8/8に契約交渉がまとまり復旧しました。
すこし遡ると、4月にはNFLが提供するチャンネル「NFLネットワーク」「NFLレッドゾーン」の放送を一時休止してしまっている。このこともあって契約打ち切りの可能性が一気に浮上したわけだけど、現在は土俵際になんとか踏みとどまっている感じか。
AT&TはディレクTVのほかにIPTVの「U-Verse TV」とOTTの「DirecTV Now」を展開しているが、契約者数の減少に歯止めがかからない。度重なる値上げも顧客の離反を招いた。
ディレクTVはいちおう衛星放送業者だけど、AT&T傘下に入ったことで衛星放送の縮退を進めている。それにはいわゆる「コードカッター」への対策も含まれ、「DirecTV Now」のローンチはその回答だったはずなんだけど、安さを求めるコードカッターたちに対して値上げを行ってしまったのは愚策だと言わざるを得ない。
昨年、AT&Tはタイム・ワーナーを買収。映画やHBO制作のドラマなどのコンテンツ資産を武器にてこ入れをはかろうとしているが、正直なところなかなか活路は見出だせない。
そんなこんなで、ディレクTVの事業自体を売却するという噂まであがる次第。まさに一寸先は闇です。NFLの放映権を抱きかかえたまま、かつての巨艦は沈んでいくのでしょうか。なんとも物悲しい光景ではあります。
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