米DAZN1周年を米記者が振り返る。
9/20にアメリカのDAZNがサービス開始から1周年を迎えたとのことで、アメリカのボクシング担当記者がこの1年を振り返っています。
念のため記しておきますが、アメリカのYahoo!は現在日本のヤフージャパンとは資本関係のない別会社です。
DAZNのアメリカ進出が発表されたのは昨年5月のこと。イギリスのボクシングのプロモーターであるマッチルーム社と総額10億ドル規模の合弁会社を設立する、という驚きの内容とともにでした。
四大プロスポーツもカレッジスポーツも放映権でがんじがらめになっているアメリカにあえて進出する意味が最初はよく理解できませんでしたが、確かにボクシングであれば付け入る隙はありました。
ひとつは大手CATV局・HBOのボクシング撤退。最近では「ゲーム・オブ・スローンズ」に代表されるようドラマ・映画のウェイトが高くなっており、かつて看板番組だったボクシングが押しやられることになりました。
もうひとつはアメリカのボクシング中継はPPVが主流であること。そこにサブスクリプションを持ち込むことに勝機を見出だしたのです。
その後はマッチルーム社が契約する選手のほか、カネロ選手やゴロフキン選手などと大型契約を結んできました。しかし、安定的に好カードを提供できる保証はなく、当初月9.99ドルだった料金は「月19.99ドルまたは年99.99ドル」に改められました。
カネロvsゴロフキンの3回目となる対戦がいまだ実現していないといった課題もありますが、この記事の記者は全体として「A-」との評価をしています。まぁ、確かにボクシングだけで考えればそうなるんですかね。
減点要素としてはコメンタリーのレベルをあげています。これは日本のDAZNにも通じるところで、配信数が増えてもレベルアップが追いつかない。そこは場数を踏んで育てていくしかないのですが、熱心なファンからはどうしても苦情が来るところでして。
また、この記事では契約数への言及がありません。あくまでもコンテンツとしての評価です。いくら頑張ったところで黒字化の見通しが立たないのではいけません。
DAZNの中の人によると、初期投資の段階はもう終わり、これ以上のマネーゲームをするつもりはないとのこと。仕方のない面もありつつ、やりすぎた感は持っているようです。
ボクシング以外について触れると、同じ格闘技としてはベラトールと契約。また、MLBとの契約にも成功し、将来はNFLを狙うとも公言していますが、放映権料の高騰が極まる中、メジャースポーツの切り崩しには相当時間がかかるでしょう。
先の発言も含め、そこまで体力が持ち堪えられるか…という話です。札束の叩き合いだけであれば、もっと巨大なプレイヤーがごろごろいる世界ですから、より緻密な戦略が試されます。ここで大コケされたら日本にも影響が出るだけに、なんとか堪えてほしい。
アメリカ絡みでもうひとつ記事を紹介すると、米最大のCATVネットワークを保有するコムキャストと提携を発表。コムキャストが提供するSTBにDAZNのアプリをプリインストールするほか、将来的にはUIの統合も視野に入れているとのこと。
テレビならリモコンで簡単にチャンネルを変えられるのに、複数のOTTサービスを切り換えるのは面倒だ、という声はよく耳にします。
そのためNetflixなどはリモコンにボタンを付けさせるといった取り組みを行っていますが、なるべく少ないアクションで観たいコンテンツにたどり着けるためにはどんなUIが適切か。デザイナーの力量もまたサービスの競争力につながっていきます。
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