グランプリシリーズ開幕。ISUがYouTube配信拡大。

今季のフィギュアスケート・グランプリシリーズは例年通りスケートアメリカから開幕しました。

その前にISU(国際スケート連盟)から発表があり、グランプリシリーズを始め、スピードスケートやショートトラックなど多くの大会をISUの公式YouTubeチャンネルにて配信するとのこと。
ただし、テレビ放映権がある国についてはやはりブロックされるとのことで、具体的な配信対象となる国はISUが発行するニュースレターにて発表されるそうです。
この方針は以前からISUが進めている「テレビとデジタルの分離」の延長線上にあります。テレビ放映権料への過度の依存を脱し、自前の配信チャンネルを運営することで収入源のバランスを是正するとともに、視聴者数の増加をねらうというものです。

この記述はISUが発行している「ステータスレポート」のマーケティングの項目にあります。以下のページからダウンロードできるのでぜひご一読ください。
前段では、日本の放映権料が順調に増えていること、アメリカのNBCと長期の契約を結んだことが成果としてあげられる一方、EBU(欧州放送連合)やカナダの公共放送CBCとの契約が2018-19シーズンで終了するため交渉を続けていることも記載されています。
後段では、先ほど説明したテレビとデジタルの分離戦略について記述されています。EBUの協力で運営されている「ISU Skating Channel」の見直しや、オリンピックチャンネルとの連携についても書かれています。
戦略の一環なのか、今季(2019-20)からISUの代理店がIMGからInfrontに変更されています。
今後もテレビが重要なメディアであることには変わりないですが、今後契約を更新する放送局に対しては独占契約ではなく、並行してライブストリーミングの視聴を可能にする条件が提示されていくと考えられます。

なお、日本・アメリカ・カナダなどはInfrontの契約の対象外ですが、録画中継が多い日本のファンにとって、ライブストリーミングの解禁は待ち望まれるものでしょう。NHK杯はよく頑張っていると思いますが…
さて、カナダ在住の日本人の方が、今季からテレビでグランプリシリーズが観られないかも?というブログを書いており、ファンから注目されているようです。

先に書いた通り、公共放送CBCとの契約は終了しましたので、更新または他局への移動がなければテレビ中継は消滅することになりますが、その代わりにライブストリーミングが提供されるのではと。
以前はCBCが行っていたものがISU公式に移動するという形ですが、ご存知の通りカナダは英語とフランス語が公用語ですから、両方に対応できるのかという問題は生じます。

なお、シリーズ2戦目のスケートカナダについては他局が放送するのでそのままだとのこと。日本におけるテレビ朝日とNHKの関係に似ています。
ストリーミングは国境を超え、多くの視聴者を獲得できるチャンスを与えます。しかし、テレビの力は決して弱まってはいません。両者のバランスをどこに置くか、さまざまな競技の運営者が探っているところです。

ISUの戦略は果たして成功するのか。それは今後の視聴者数と収支決算によって判断されることになるでしょう。
ということで、ISUから放送局のリストが公開されました。カナダのCBCは名を連ねているので契約が更新されたようです。また、EBUとの契約は解消されたとのこと。

あと、意外に国の数が少ないのと、フランスの名前が見当たらないのも気になるところです。 このあたりもEBUの影響なのかもしれません。

【お知らせ】現在コメント機能が使えない状態です。感想・意見・誤情報のツッコミ等ございましたら、筆者のX(旧Twitter)までお願い致します。 @flower_highway

0コメント

  • 1000 / 1000