JC、2026~32年五輪の放映権獲得。総額975億円。

NHKと民放が合同で組織するジャパンコンソーシアム(JC)が、IOCと2032年大会までの放映権契約を結びました。これまでの慣例に従えば、NHKが7割、民放が3割を支払うことになります。
この金額をどうみるかは視点によって変わります。絶対的な金額でみれば高いに決まってますので、ここでは相対的な視点からのデータを記すことにします。

まずは縦の比較。時系列を押さえましょう。夏季と冬季の2大会をセットで販売するようになった2010年(バンクーバー冬季)以降のデータです。
なお、夏季と冬季の比率についてはおおむね2:1が目安となります。
2010/12 →325億円
2014/16 →360億円
2018/20 →660億円
2022/24 →440億円
2026/28 →475億円
2030/32 →500億円
時差のない平昌、そして自国開催の東京がセットになった2018/20については跳ね上がってますが、それを除くと30~40億円程度のペースで値上がりしている感じです。
デフレと人口減少に悩む日本なだけに苦しいところですが、世界的な経済成長をみると理解できなくもない?やはり日本経済が復活してもらわないと困ります。
次は横の比較、すなわち他の地域の値段なのですが、ヨーロッパについてはまだ2024年までの契約であり、最新では2018~24の4大会で13億ユーロ。1セットでは6.5億ユーロとなります。
なお、放映権を購入したのはアメリカのディスカバリー社(ユーロスポーツ)であり、そこからさらに各国へと販売されていくので総額としてはもっと上がります。

そして問題のアメリカですが、2022~32の6大会で76.5億ドル。その中には2028ロサンゼルス大会が含まれるのですが、1セットでは25.5億ドルとなります。

日本はいまのところJCを通じて購入することができていますが、JCはある意味カルテルであり、将来的には外国の企業に売られてしまう可能性だってなきにしもあらず。これをふまえると、なんとか抑え込めている状態だと言えるかもしれません。
問題は2030年以降の開催地が決まっていないこと。日本にとってもアメリカにとってもこの時点での契約は一種の賭けとなります。

2030年冬季大会には札幌が招致を表明。また、2032年夏季大会にはインドやジャカルタ(インドネシア)が招致に動き出しています。ですから、両大会とも時差が小さくなれば、この賭けに勝ったと言えるでしょう。もちろん暑さ対策がどうなるかという課題は残るのですが。

また、アジアでの開催となれば映像制作の委託を受ける可能性も。オリンピックの映像はOBS(オリンピック放送機構)が制作していますが、実際には種目ごとに実績のある放送局や制作会社に外注します。この際、地理的に近いことはわずかではありますが有利な材料となります。
こうやってかき集めた放映権料はどう使われてるのか?という疑問には、IOCが公式に出している「IOC Annual Report」を読むのがいいと思います。これについても近々取り上げたいと考えております。

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