【本の紹介】横浜ストロングスタイル

ラグビー新リーグ構想がようやく走り出したタイミングなので、今回は本の紹介をやります。なにせラグビー協会の元・中の人が書いた本ですから。
著者は横浜DeNAベイスターズ初代社長の池田純さん。不人気球団を人気球団に変え、赤字経営を黒字に転換させ、横浜スタジアムの買収という難事業に成功した彼が自ら「その後」を綴った本です。

結果を先に書くと、ほとんど何も成し遂げられなかったと自戒しています。ベイスターズでは大きな権限を与えられたことで思いきったことができたが、その後関わった組織ではアドバイザー的な立場にとどまり、それ以上食い込もうとすると内部の力で潰される。その繰り返しだったと言います。

関わった組織としてあげられた中にはラグビー協会やUNIVASの名前も。両方とも期待はしているのですが、まぁしがらみがたくさんあるだろうなぁ…とは思いますので、改革派の人が池田さんを担ぎ出しても結局は保身に走らざるを得なくなる。残念至極です。

池田さんがもう少し器用に振る舞えば違ったのではないか。正論を吐いても実行力がなければ意味がないのでは。そう批判する方もいるかもしれませんが、先にも書いた通り、彼は横浜スタジアム買収という大仕事をやってのけてるわけです。地元の大物たちと渡り合って話をまとめあげてきた手腕は、社長という肩書と権力が伴ってこそ発揮できるわけですね。

ということで、経営者からアドバイザーや評論家的なポジションになってしまいましたが、彼のことですから近いうちにまた経営者として復帰されるのでしょう。ただ、次のフィールドはスポーツ界ではないのかもしれません。そういう意味でこの本は決別の書であるとも言えます。

横浜ファンとして彼の貢献は感謝してもしきれないほどですが、残念ながらDeNA本社の中にも彼の貢献を疎ましく思う勢力がいたようで。

かつてDeNAはいわゆる「WELQ問題」で窮地に追い込まれました。検索順位という数字に追われて肝心のユーザーを蔑ろにし、怪しい健康情報をネットに垂れ流しました。
本業のゲーム事業もぴりっとしませんが、この会社は数字は見るけど人を見てないのでは?と疑問に感じることは多いです。その中でベイスターズが成功できたのは、数字にも人にもきちんと向き合ったからでしょう。

あと特筆すべきなのは、11月発売の本にも関わらず、ラグビーの人気が沸騰すること、そして「にわかファン」が急増することを予見していたこと。おそらく原稿は1か月ほど前には仕上がっていたでしょうから。

そのにわかファンを育成する仕事を池田さんはやりたかったんだろうなぁ…と、もはや怨念に近いものが伝わってくる一冊でした。

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