【感想】映像の世紀プレミアム(16)「オリンピック 激動の祭典」

きょう6/23はIOCの創立記念日「オリンピックデー」。本来ならば記念行事で盛り上がっていたところなのですが、この情勢では仕方なく、静かな一日となりました。
「映像の世紀プレミアム」は当初15回のシリーズを予定していたようですが、この度16回目が放送されました。

現在、警察官による黒人殺害事件を発端として世界に広がる「Black lives matter」運動。いま現在の動きを反映してか、この回も差別とオリンピックに関して触れた時間が長かったように思います。もしかしたら直前になって編集し直したのかもしれません。

1952年ヘルシンキ大会の「人間機関車」ザトペック選手に触れた部分もややあっさりした感が。同じチェコスロバキアの体操選手・チャフラフスカの映像もちらっと出ていましたが、二人がその後たどった運命についてもう少し触れてもよかったように思います。

また、1972年ミュンヘン大会で起きたテロ事件については触れられませんでした。尺に限りがあるのは分かってますが、このあたりがカットされたのは残念な気もします。
話を黒人差別問題に戻すと、1968年メキシコ大会で起きた事件に長い時間が割かれました。男子200mの表彰式でアメリカの黒人選手2人と、白人のオーストラリア選手が起こした行動とその後。

史実としては知っている話でしたが、実際の映像がもたらすインパクトはやはり大きく、涙がこぼれてしまいました。

スポーツと政治は別、という建前はあるものの、スポーツ選手が晴れの舞台で政治的なパフォーマンスを行うことの是非については現在でも議論になるところ。NFLの選手が試合前の国家斉唱でひざをついた「事件」などが波紋を呼びました。
NFLのコミッショナーは最近になって、過去の過ちを認め、人種差別を非難するとの声明を出しております。少なくとも人種差別については普遍的な正義が認められたといってよいのでしょう。ただ、意見が分かれる問題についてはいまだその限りではありません。

黒人差別という点では、番組では触れませんでしたが、1972年モントリオール大会でアフリカ諸国がボイコットを行ったことを補足しておきましょう。これはニュージーランドが当時アパルトヘイト政策を実施していた南アフリカ(五輪は資格停止)とラグビーの試合を行ったことが発端となったものです。

どうしてもツッコミが多くなってしまいますが、当ブログの主題であるところの「商業化」についても触れておく必要があるでしょう。「プロ選手の参加」と「ドーピング」の問題が、商業化と絡めて語られてしまったのにはやはり違和感がありますので。

これらはそもそもアマチュア規定があいまいなものであることと、共産圏のいわゆる「ステートアマ」の存在を抜きにしては語れないものです。アマとプロに線引きは必要なのか。国の威信に選手が利用されてよいのか。そんな問いをもう少し投げかけてほしかったなと。欲張りですが。

いまでも建前としては、オリンピックは国と国の競争ではありません。各国に設置されたオリンピック委員会(NOC)が選手の派遣を行うというだけです。なので、IOCは国別のメダル数ランキングを作りません。これはメディアが勝手にやっていることなのですね。

これだけ多くの視点を90分に詰め込むのは土台無理な話であることは重々承知ですので、あとはこれを見た人たちが改めてオリンピックの理念とはなにかを学んでいくことが大事なのでしょう。ということで、最後にJOCの「オリンピズム」のサイトを紹介して本記事は終わりとさせて頂きます。

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