東京五輪開会式(予定)の日にマネーを想う。

本題の前に、まずは昨日発信された「+1メッセージ」について。池江璃花子さんの言葉、純粋に胸を打つものでした。

「こんな大変な時期にスポーツをすることに否定的な声もある」とメッセージの中にありました。実際、池江さんがこのイベントに出演したこと自体を批判する声も散見されました。

これを池江さんに言わせちゃいけないな…というのが率直な思いです。そんな遠慮をせずに、純粋に目の前の目標に向かってほしいですし、そんな世界に早くなってほしい。

当ブログではマネーにまみれたオトナたちの汚い部分をたくさん取り上げてますが、同時にその汚い部分は我々で引き受けて、アスリートへのリスペクトを忘れないことが大切だと改めて思う次第です。

ここからはあらかじめ用意していた記事をお届けします。
2020年7月24日。本来であれば、きょう東京五輪の開会式が行われているはずでした。天災には勝てません。来年できるかどうかもまだわかりません。世界はこの半年ほどですっかり変わってしまいました。

それでも世界には、来年に五輪が開催されることを信じてトレーニングに励むアスリートたちがいます。巨額のマネーが動くこの大会を利権だのなんだのと批判することは簡単ですが、そのマネーが分配されることで多くのアスリートが競技を続けられていることも忘れてはいけません。
IOCのバッハ会長はいくつかのオプションを検討しているものの、中止は含まれていないと発言。また、五輪延期にともなう追加支出は8億ドルで、そのうち1.5億ドルは加盟競技団体(IF)と各国のオリンピック委員会(NOC)の支援に充てられるとしています。

IOCの収入の9割はIFやNOCなどに分配されています。そして、収入の大半を占める放映権料とスポンサー料が入らないとなれば、これらが干上がる可能性があるわけです。
スポンサーについては、TOP(The Olympic Program)と呼ばれるグローバルのスポンサー(14社)が最高ランクとなりますが、本来ならば今年で終了するはずだった契約をどうするのか。

そのうちの1社であるフランスのIT企業・アトス(Atos)が2024年まで契約を延長した…というのが上の記事ですが、2020年で契約が切れるスポンサーが3社残っています。その下のランクにあたるスポンサーについても、今後の活動について交渉が必要です。

※本稿執筆後、P&Gが2028年まで契約更新。残りは2社となりました。(P&Gとダウ・ケミカル)
先の1.5億ドルの支援によって、IFが破綻するという事態はなんとか避けられそうとのこと。

IFの収入におけるIOCの依存度は平均で30%程度で、自ら主催する大会で大きな収益をあげられる競技ほどコロナ禍の影響を受けているとのこと。具体的な名前としてはテニス・バレーボール・自転車があがっています。

いわゆるマイナースポーツの場合、IFの規模も小さく、大会が開催できないことによる被害は比較的少ないのだとか。ただ、本来は単独で収益をあげられる体質にしていくべきところではあります。オリンピックはすべての競技の運命共同体的な側面があります。
最近の記事では、1.5億ドルのうち6,300万ドルがすでに支援に使われており、15のIFには融資、東京五輪から採用される5つのIFには寄付の形で支援しているとのこと。今後も大会が開催できない状態が続けば、さらにその額は増えることとなります。

カネより命が大事なのは当然ですが、命の次に大事なカネがなくなれば、多くのアスリートが競技を断念せざるを得なくなります。また、単純にオリンピックを無くせば、財政的に厳しい競技団体は維持が困難になるでしょう。

それもまた競争による結果だと言えばそれまでかもしれませんが、簡単に切り捨ててよいものとも思えません。残念ながらそのような趣旨の発言をする方も目立ちます。個人的には冷たいなと感じています。

オリンピックはマネーのためのものではないですが、政治のためのものでもありません。アスリートファーストとはなにかを改めて問わねばなりません。

これからのオリンピック、そしてスポーツビジネスのあり方について、コロナ禍は大きな問いを投げかけています。当ブログでは引き続きこのテーマについても考えていきます。

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