「GCNレースパス」レポートと、改めて問うDAZNの功罪。

GCNレースパス、直前に購入しました。しかも年間契約です。喜んで人柱になります。新しいサービスですから、いろいろと不安もありますが、育てる楽しみもあるでしょう。

最初に配信されたストラーデ・ビアンケの女子レースは第一声を聴きたくてライブで。男子は深夜になるため最初だけライブ、後ほどアーカイブで視聴しました。

Android TVにキャストしてみたのですが画質は問題なし。ただ、Android版アプリだと配信開始時間が表示されないのは気になります(iPhone版は表示あり)。最新情報を得るためにはGCN JapanのTwitterをフォローすることをお勧めします。

コメンタリーは女子が小俣雄風太さん、男子が木下貴道さんと土井雪広さん。いずれもDAZNに出演されていた方です。GCNプレゼンターの土井ちゃんが解説なのは当然として、あとのお二方は声がけしやすかったのかな…と。木下さんは事務所を退社し個人で活動されていますが、それが幸いだったのかもしれません。

また、言語切り替え機能もあり、GCNが公式にサポートしている6言語のほか、オランダ語などもありました。このあたりはユーロスポーツからそのまま流用してるのでしょう。

なにしろ画面右上に表示されているウォーターマーク(放送局のロゴ)が思いっきり"EUROSPORT"ですからちょっと笑いました。バックエンドはユーロスポーツの配信アプリであるEurosport Playerと共通と考えられ、信頼性について大きな心配はなさそうです。

映像よりもむしろ音声のほうが心配でした。ユーロスポーツが放送されていない日本は独自にコメンタリーを入れる必要があり、システム的にも追加が発生する箇所です。それゆえ不安要素となります。

で、そういう不安に限って的中するもので、男子レースは開始から40分ほど音声が届かないトラブル発生。音質もいまいちでした。リモートでの収録だったとのことですが、改良すべき点が多々あります。
さて、後半戦は無くなってからわかるDAZNのありがたみについて。いや、私もさんざん文句を書きましたよ。初期のクオリティはひどいもので、マイナスからのスタートでした。

でも着実に改善が進んだことも認めるべきで、当初背負った借金はかなり返済できたでしょう。ビジネスですから仕方ないとしても、3年で終了したのは実に残念。日本のスタッフも悔しかったと思います。

ということで、クオリティのことは抜きにして、DAZNが参入してよかったと思うことを改めて振り返ります。
■日本で視聴できるレース数が格段に増えた

これは間違いなくプラスです。大きなレースだけを観るのではなく、その前哨戦も観られることで楽しみは深まります。いろんな国のいろんな風景を見せてもらいました。

これだけのレース数を配信できたのは、ユーロスポーツから放映権を購入したから。つまり、ユーロスポーツを日本に連れてきたのがDAZNと言ってもよいかと。そして、ユーロスポーツの兄弟会社にあたるGCNがそれを引き継いだのです。
■他の競技のファンにも観てもらえた

サイクルロードレースは平日にも開催され、日本では夜10~11時頃になることが多く、これはちょうどプロ野球やJリーグの試合が終わった後になります。なんとなくDAZNをつけたらレースをやっていた。そんな方も多かっただろうと思います。

GCN自体はなにも悪くないけど、専門サービスである時点でこういった入口は閉ざされます。JSPORTSは専門ではないけど、ほとんどのレースがJSPORTS4で放送される以上、オプション追加が必須であり、やはりふらっと観られる環境ではありません。
■コメンタリーで新たな人材が発掘された

レース数が増えた以上多くの人を起用する必要があり、実況が本業ではない人、解説が初めての人がたくさん出演しました。これも試行錯誤が続きましたが、その中でも今回実況を担当された木下さんは最大の収穫でしょう。

ただ、JSPORTSとDAZNで人材交流がないというのは実に痛い。他の競技では両方に出演している方もいるのですが…。どうも日本の自転車界はなにかとしがらみが多そう。GCNでもそれを引きずる予感がします。
■DAZNが参入しなくてもJSPORTSは安泰だとは言えない

「DAZNが場を荒らした」「余計なことをした」「DAZNがなければジロもフランドルもJSPORTSで観られて平和だった」という声がありますが…本当でしょうか。

結果として、DAZNが撤退した今年もJSPORTSに権利はないのです。内情は知る由もありませんが、買わなかったのか、それとも買えなかったのか、どちらかです。

DAZN参入の際には、世界的に放映権料の引き上げがあったと伝えられています。ですから、DAZNがいなくてもJSPORTSがジロの権利を買えた保証はありません。そして、今後も放映権料が下がる可能性は低いです。

GCNが先に押さえてた…という可能性も考えられますが、先の記事でも書いた通り、もともとは2021年にサービス開始と発表されてましたので、年初の時点ではまだだと推測するほうが自然かと思います。
以上、いろいろと書いてみました。GCNはまだ始まったばかりで、足りない点もたくさんあります。しかしながら、DAZNが残した財産を利用し、失敗から学べることは今後の改善における大きなショートカットとなります。まずは期待を込めてエールを送ることにしましょう。

※ストラーデ・ビアンケのハイライトは日本向け放映権を持つIMGが運営する「inCycle」のYouTubeから見ることができます。

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