【反省会①】DAZN欧州CL撤退報道の検証。

米Bloombergの報道をきっかけに一気に広がった、DAZNが欧州CL/ELの配信を止めるという噂話。DAZNが今季の残り試合をすべて配信すると表明したことでいったん落ち着きを見せましたが、スポーツ系メディアのみならず、朝日新聞など一般メディアも報道するほどの騒ぎに発展してしまいました。

改めて、なぜこうなったのかを冷静に検証するとともに、今後起こり得る展開について予想してみたいと思います。
■なぜ噂が広がってしまったのか

きっかけは先に書いた通りBloombergの記事です。見出しは以下のようになっていました。

DAZN Streaming Service Seeks Exit From UEFA Asia Rights Deal
(ストリーミングサービスのDAZNはUEFAとのアジアにおける放映権契約を解除する意向)

DAZNは日本だけでなくタイなど東南アジアの一部諸国でも欧州CL/ELの放映権を獲得しており、来シーズンまで契約が残っているのですが、それを前倒しして今シーズン限りで解除する意向をUEFAと交渉しているという内容です。

それが日本のファンに伝わると、日本のDAZNにおいてCL関連のコンテンツが消されていると話題になりました。アプリ内のコンテンツや公式YouTubeのコンテンツ、さらにはWebサイトにあるCLのロゴマークも消されており、すでに放映権を失っているのでは?との推測がなされ、火が油を注ぐ形となったのです。
■噂が広まる中で抜け落ちたこと

Bloombergの記事をよく読むと、Japanという単語は登場せず、書かれているのはタイなど東南アジアの話です。DAZNはタイでのサービス開始をめざしており、国内リーグの放映権獲得に動いていました。それまでは自社が運営するGoal.comや公式YouTubeなどで無料配信を続けていました。

その他の国でも現地の放送局にサブライセンスを出すなどの動きを行っていましたが、採算が取れる見込みは薄くなり、撤退へと舵を切ったことになります。
その後、SportsProが出した記事の見出しは"Southeast Asia"となっています。つまり、日本を含むアジア地域なのか、それとも東南アジアのみなのか。どっちとも読み取れる内容だったわけです。

すでにサービスを行っている日本と、行えていない東南アジアでは扱いが異なって然りだとは思うのですが、真相はわかりません。

もうひとつの疑問は、今シーズン終了を待っての契約解除なのか、それとも直ちに解除なのか。コロナ禍でシーズンが延長されたこともあり、このあたりも不透明なのですが、先のコンテンツが消されたという話からすでに解除されているとの憶測が広がってしまいました。
■コンテンツが消えたことの意味

これについてはネガティブなものもあれば、そうでもないものもあり、冷静に仕分けしておく必要があります。

重い意味を持つのは、Webサイトの配信コンテンツ一覧からCLのロゴが消えていたこと。これは何らかの異変を示唆しています。契約解除もあり得るとの想定のもとでDAZNが動いていたと推測されます。

なにせ相手はUEFAです。タフな交渉になるのは間違いありません。試合数が減ったことによる放映権料の減額交渉もあったかもしれません。水面下で激しいやりとりがあったと想像させるには充分です。

YouTubeの動画については、同様に先回りして削除した可能性もあれば、単に配信期限が切れたため削除した可能性もありますので、中立といったところです。

タイのYouTubeチャンネルでは削除された動画もありますが、まだ公開されている動画もあります(ジオブロックにより日本からの視聴は不可)。同じDAZNでも国によって対応は一貫していません。

なお、DAZNのアプリ内のコンテンツについては期限切れの可能性が高いでしょう。CLのカテゴリーが消えたとの指摘もありますが、コンテンツがなくなればカテゴリーも消えるのがDAZNの仕様であり、とくに驚くポイントではありません。
■今後はどうなるのか

とりあえず今シーズンの配信は確定しましたが、来シーズンについては不透明であり、引き続き監視していく必要があります。

その際、日本も含まれるのか、それとも東南アジアだけなのかを切り分ける必要があります。先にあげたタイのYouTubeについては定期的にチェックするつもりです。

そして、コロナ禍で中断されていた2021-22シーズン以降の入札がそろそろ動き出します。DAZNにとってはプレミアとCLは押さえておきたい重点的なコンテンツだと思われますが、平日深夜の開催が多いCLは高い放映権料に見合ったコストパフォーマンスを出せているのか。データに基づいたシビアな判断を問われることになります。
■所感

このような噂が広まった要因として、DAZNに対する不信感が噴出したことも避けて通るわけにはいきません。

もしかしたら日本人が求めるサービスレベルが高すぎるのかもしれませんが、配信コンテンツが直前まで発表されないことはもはや当たり前のことで慣れてしまいました。

コロナ禍でダメージを負ったDAZNは、今後もコンテンツの選択と集中を進めていくものと考えられます。その中で切られるコンテンツは必ず出てくることとなります。

その中で求められるのは、守秘義務に抵触しない範囲での情報公開でしょうし、それ以上にまずは経営を安定させることでしょう。

※あすは、Netflixがサッカー放映権に進出?という噂の反省会です。

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