DAZN、プレミア入札で敗れるとの報道。
徐々に話題になりつつありますが、来季以降のプレミアリーグの放映権の入札で、DAZNが敗れたとSportBusinessが報じています。
その記事自体はペイウォールの中にあるため参照できないのですが、記者のKevin McCullagh氏のツイートでその一端を知ることができます。
韓国のEclat Media Groupが日本と韓国で権利を落札したとのこと。また、金額も現在の契約から増加する見込みとのことです。
Eclat Media Group has outbid DAZN to win English Premier League rights in Japan from 2022-23. Second big move by Eclat in last 6mo after launch of SPOTV in multiple Apac markets. DAZN loses grip on key property the same week as increasing price in JP https://t.co/Gu4WUbEsQN
— Kevin McCullagh (@kevinmccullagh) January 28, 2022
逆に言えば、このツイート以外に情報はありません。EXCLUSIVE、すなわち特ダネなので他のメディアには掲載されていません。具体的な契約期間や金額、また日本と韓国以外のマーケットの結果などは続報を待つことになります。
一部でEclatがアジア太平洋地域の権利を獲得したという情報が出ているようですが、今回の入札は14の地域が対象であり、日韓以外の結果は不明です。(記事には書かれているかもしれませんが)
まとめ売りではありませんので、Eclatは日本市場を狙い、具体的なサービスを提供する意志を持って入札してきたと言えます。
他の12地域も含め、正式な結果は近いうちにプレミアリーグの公式サイトに掲載されます。
Eclatは韓国でスポーツチャンネル「SPOTV」を運営しており、昨年秋に東南アジアに進出しています。FOX Sportsが撤退したため、その後釜的なポジションを狙って参入したものです。
日本の系列会社では配信サービス「SPOZONE」を運営するほか、スポーツ番組製作を請け負っており、DAZNとも取引があるとのこと。今回の入札に日本の子会社が関与しているかは分からないのですが、協力関係が突如競合に変わることもあるのです。
SPOZONEは2020年春に開始されたサービスで、MLBの配信がメインです。それ以前はDAZNがMLBを配信していました。
EclatはMLBの代理店的な役割を果たしており、DAZNにライセンスを下ろすのをやめて自社でサービスを立ち上げたといったところです。
しかし、2020年はコロナ禍によりMLBのシーズン開始が大幅に遅れる苦難を味わいました。韓国プロ野球を配信したりもしました。
2021年は無事開幕を迎えたものの、シーズン途中からABEMAにライセンスを提供しています。自社単独で契約者を増やすのは難しいという判断ではないかと考えられます。
Eclatが日本でどのようなサービスを提供していくかは今後発表されるかと思いますが、SPOZONEもしくはSPOTVのOTTサービスである「SPOTV NOW」のブランドを活用する案がまずはあげられます。
もし独占配信を考えているのであれば、正直なところ相当なギャンブルに見えます。それこそDAZNの立ち上げ期に匹敵する投資が必要となりますが、資金が確保できるのでしょうか。
堅実に進めるのであれば一部の試合をライセンスする方向になるかと予想します。その相手がDAZNになる可能性も残されています。最終的に来シーズンの放送・配信がどうなるか、確定には時間がかかりそうです。
改めて話を戻すと、落札金額は現在よりも増えたとのことで、リーグ側にとっては美味しい結果ではあるのですが、ファンの負担はどこが落札したところで最終的にはさほど変わりません。
増額分を回収するにはファンを増やすか、客単価を上げるかのどちらかです。DAZNは値上げ発表で多くの批判を浴びているところですが、逆説的な言い方をすれば、今回の入札では自ら相場を大きくつり上げる行動は起こさなかったのです。
EclatはDAZN以上に成長の余地を感じているからこそ高い金額を提示したはずで、今後どのように回収していくかが問われることになります。
放映権の移動は正直言ってよくあることで、プレミアの権利が今シーズン限りであることも事前に分かってはいるのですが、それでもやはり大きな衝撃と言えます。因果応報、歴史は繰り返すとは言え、そろそろ持続可能なビジネスモデルを構築して頂きたいもの。今後出てくる情報をよく注視していきます。
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