初夏の季語?「WOWOW解約」がトレンドになる苦悩。
欧州CLの決勝戦が終了し、また月末ということもあり、「WOWOW解約」というワードがTwitterのトレンドにあがったとか。昨年もEUROの終了後には同様のことが起こったと記憶しています。
もちろんそれらを目当てにしていた顧客が離れるのは想定済みではありますが、それでも他のスポーツなり、映画やドラマ・音楽など他のコンテンツにも興味を持ってもらい、少しでも契約数を確保したいというのがWOWOW側の狙いです。しかし、ここ数年でこの狙いはどんどん外れていっているようです。
先日の日経新聞がWOWOWの苦境を報じています。有料記事ですが、例によって月10本までは無料で読むことができます。また、WOWOWの契約数については公開されていますので、本記事では公開情報に基づいて書くこととします。
WOWOWの契約数は2019年の290万件から3年連続で減少しており、直近の数字(2022年4月)だと267万件となっています。コロナ禍による巣ごもり需要で動画配信サイトは全体的に追い風にありましたが、WOWOWはこの恩恵を得られませんでした。DAZNもそうですが、スポーツコンテンツが止まってしまったことの影響は大きいです。
昨年のEUROの前後における契約数をみてみると、6月に12万件近くの新規加入があったにも関わらず、翌7月にはそれに匹敵する解約が発生し、全体ではむしろ契約数が減少していることがわかります。未来への投資につながらないのであれば、支払える放映権料にもおのずと制約がかかってくることでしょう。
●2021年6月
・契約数: 2,829,287 (前月比+67,017)
・新規加入: 119,119
・解約: 52,102
●2021年7月
・契約数: 2,749,377 (前月比-79,910)
・新規加入: 34,414
・解約: 114,324
WOWOWはテニスやボクシングを長年放送。サッカーではラ・リーガに定評があり、また最近ではラグビーやゴルフにも力を入れていますが、海外サッカーファンは他のスポーツに関心を示さない傾向があるのでしょうか。
欧州CL/ELについては昨季から3年契約を結んでおり、来季も放送が決定しています。こちら、DAZNが放棄した放映権を拾ったという経緯もあり、放映権料がだいぶディスカウントされたのでは…という報道もあります。今後新たな競合が現れ、放映権料が再度高騰することになればいよいよ手を出せなくなるかもしれません。
同じ衛星放送だと、スカパーはJSATとの合併により宇宙事業へと軸足をシフトしつつあります。近い将来、OTTへの完全移行といったシナリオも考えられるかもしれません。WOWOWもカスタマーセンター運営の請負といった事業に参入していますが、放送を主体としている企業としては今後も試練が続くことになります。
6月上旬には5月末時点での契約数も公表されますので、CL終了後の動向にも引き続き注視したいと思います。
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