ディズニー株主、ESPNの分離を提案するも撤回。

アクティビスト、いわゆる「モノ言う株主」がディズニーに対して行った提案が話題となっています。


投資会社Third PointのCEO・Dan Loeb氏はディズニーのCEOと取締役会に向けて書簡を送りました。Third Pointは一時期ディズニーの株式を手放していましたが、最近になって新たに10億ドル相当の株式を購入しているとのこと。


内容としてはコスト削減や、Disney+とHuluの統合などがあげられていますが、当ブログ的にも注目したいのがESPN事業のスピンオフ(分離)です。昨年の時点で検討されていたとも報じられていますが、ここに来て再燃した形です。

ご存知の通り、スポーツの放映権料は高騰の一途をたどっています。また、スポーツのコンテンツは自社の持ち物ではないため、契約が切れれば使えなくなります。今後数十年にわたってキャッシュを生み続けてくれるであろうエンターテイメントのコンテンツと比較すれば、非効率という声があがるのも仕方ないかな…ということです。


もちろん、何十年も残り続けるコンテンツなんてそう簡単には作れないのですが、ディズニーの資本力を持ってすれば、そちらに賭けたほうが効率的ということになります。


また、今後ESPNが自らスポーツベッティング事業に参入するのであれば、ディズニーの持つブランドイメージと合致しないとも述べられています。それは分からなくもないですね。

テレビのESPNは月額10ドルであるのに対し、OTTのESPN+は6.99ドルであるという「ねじれ」を指摘する声もあります。つまり、CATV等を解約してESPN+に乗り換えると、かえってディズニーの売上は減るのではという指摘です。


ESPN+は最近9.99ドルに値上げされましたので、ねじれは解消されたようにも見えますが、Disney+やHuluとのセット割引は引き続き価格据え置きで提供されています。これについては、卸売を直販モデルに変えているわけですから、単純に売上だけでは判断できません。

今年4~6月期の決算によると、これらストリーミングサービスを表すDirect-to-Consumer事業において、売上は50億ドルに達しましたが10億ドルの赤字という結果となっています。


契約数はDisney+が1億5210万件、Huluが4,620万件、ESPN+が2,280万件で、3つを合計するとNetflix(2億2,000万件)を上回ったとしています。合計することに意味があるのかよく分かりませんが、Netflixの伸び悩みが伝えられる中、今後追いつき追い越そうとする姿勢を見せています。

12月にはDisney+の値上げが予定されています。月額7.99→10.99ドルになるのですが、新たに広告付きのプランを導入し、こちらは現在と同じ7.99ドルで提供するとのことです。


広告付きプランはNetflixでも導入が予定されており、ユーザーがこれを受け入れるかどうかが注目されます。別にCMを入れてはいけないなんて決まりはどこにもないのですが、エンターテイメント作品では有料=CMなしという認識がユーザー側に染みついています。


ESPN+にはすでにCMが入っています。スポーツはライブに強く、もともとCMを入れやすいフォーマットになっています。テレビ中継の歴史がそのようにさせたわけですね。その点で考えると、ディズニーにとってスポーツコンテンツを持ち続けることにはまだ意味がありそうですが、今後の状況が変化すればESPNの分離に舵を切る可能性は充分あり得るかと思います。

さて、この話なのですがThird Point側が提案を撤回したと報じられています。単なる揺さぶりだったのか、それとも第2ラウンドがまた始まるのかは定かではありません。また別の株主が動き出すかもしれませんし、きっといろいろ起こるのでしょう。

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