産経新聞、社説で放映権料の高騰を嘆く。

12/15付の産経新聞の社説「主張」は、「井上尚弥の快挙 本物の興奮を伝えるには」と題し、放映権料の高騰に疑問を投げかけるとともに、ユニバーサル・アクセス権の議論が必要ではないかと述べています。

主張の中身には特に異論はないのですが、ボクシングの放映権料というのはファイトマネーが大きな割合を占めており、他のスポーツと比べても選手に多く還元されているわけです。ですから、井上選手を讃えると同時に放映権料の高騰を嘆くというのは、いささか矛盾を感じるところもあります。


市場原理からいえば文句はいえず、高額の放映権料は選手の強化にも充てられる。だが、それでいいのか。有料放送は幅広い視聴を妨げることにならないか。


とある通り、社説の中の人も井上選手の価値は分かっているはずなのです。まぁ、一部のスポーツでは正直なところ選手の年俸が高すぎるのでは…と思うこともあります。産経新聞は基本的に市場原理を重んじる立場でしょうから、苦しさも感じます。今回の試合で推定3億円とも言われるファイトマネーを勝ち取った井上選手ですが、その価値は正当に評価されるべきでしょう。個人的にはもっと多くていいと思いますけど。


放映権料はなぜ高騰しているのか…という話をすると、すぐに日本の経済力の低下を嘆く声が出るのですが、それとは別に世界で起こっている潮流なのです。この社説でも触れている「豊富な資金力を持つ動画配信サービスの参入」は大きな理由のひとつです。競争原理の中で、プレイヤーが増えれば当然価格は上がっていきます。ただ、最近はOTTサービス全体で成長が止まってきており、そろそろ流れが変わってきそうです。


ユニバーサル・アクセス権については過去の当ブログの記事をいくつか貼っておきます。日本でも議論すべきという意見には賛成です。ただ、日本で無料放送の義務付けが成立したところで、それが放映権料の高騰を抑制するわけではありません。抑制するためには、それこそ「買わない」という選択肢を残しつつ、ぎりぎりまでタフな交渉を続ける覚悟が必要となるでしょう。

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