【信頼度低】Apple、次期プレミア英国内の入札に参加の噂。

イギリスの大衆紙・Daily Mailによると、Appleが2025-26シーズン以降のイギリス国内におけるプレミアリーグ放映権の入札参加に前向きだとのこと。


正直なところ、大衆紙の出している記事ですし、中身を確認しても根拠がいまいち薄いので、現時点で取り上げるのもなぁ…と思ったのですが、これを受けてGigazineが日本語の記事を出してきましたので、やはり補足が必要だろうと思い執筆します。


まず、対象はイギリス国内およびアイルランドの放映権であることを押さえておく必要があります。ですから、この件は日本と直接は関係ありません。Appleは今年からMLSの放映権を10年総額25億ドルで獲得していますが、これはアメリカに限らずグローバルが対象であり、日本からの視聴も可能です。


現在の契約は今シーズン(2022-23)からの3年間で、総額51億ポンド(約8,000億円)です。生中継の権利をSky Sports、BT Sport、Amazonの3社が保有し、ハイライトの権利をBBCが取得しています。


前回の入札ですが、コロナ禍の真っ只中だったため取りやめとなっています。イギリス政府は特例措置として入札の義務付けを撤回しました。リーグは前回と同じ業者と、同じ条件で契約を更新しています。この措置には、当時参入を検討していたDAZNがひどく憤慨していたそうですが、いまのDAZNには参入できる体力はおそらくないでしょう。

また、生中継の対象となっているのは全380試合中200試合です。いわゆる「3pm blackout」と呼ばれる土曜午後3時キックオフの試合は生中継されません。逆に言えば、200試合でこれだけの放映権料を発生させているわけです。各社が獲得している試合数は、Skyが128試合、BTが52試合、Amazonが20試合です。


ただし、次期サイクルではこのルールに見直しが入るかもしれません。2~4部リーグを管轄するEFLは、2024-25シーズンからルールを緩和する方針を示しています。プレミアも1年遅れで追随する可能性が大いにあります。

さて、話を戻すと、前回サイクルでは入札が見送られたため、次回の入札は6年ぶりということになります。先の記事では今年後半から入札のプロセスが開始されるとのことですが、6年前に決着したのは2018年6月のことなので、もう少し長引くかもしれません。


イギリス国内の放映権料は限界まで上がりきっていると言ってもよいでしょう。下落を恐れたからこそ前回の入札は見送られたと考えてよいと思います。3社すべてと契約すれば、月の負担は日本円で10,000円を超えるレベルです。日本よりも物価が高いとはいえ、ファンの財力にも限界があります。


BT Sportsは昨年ディスカバリーの傘下となりました。そのディスカバリーもワーナーと合併し、現在コスト削減に明け暮れているところです。旧ワーナー傘下のHBOがSkyと2025年までコンテンツの供給契約を結んでいることも懸念材料です。次回の入札でSkyと正面からぶつかることができるかは今後の経営方針しだいです。もちろんSkyだって盤石ではなく、ストリーミングとの激しい競争にさらされています。


こんな状況の中、それでも放映権料を上げたいならば、考えられる方法はふたつです。ひとつは先ほどのblackoutを緩和して試合数を増やすこと。そして、もうひとつは入札に参加するプレイヤーを増やすことです。その意味で、もしAppleが参入するのであれば歓迎されることでしょう。


他のプレイヤーとしては、スウェーデン発祥のViaplayがあげられます。昨年イギリスに進出すると、スポーツチャンネルのPremier Sportsを買収。イングランド以外の代表戦の権利も獲得しました。EFLの次期サイクルにも興味を示していると報じられています。

Appleは、昨年「NFLサンデーチケット」の最有力候補と言われながら、YouTubeに持っていかれる形となりました。不成立に終わったこの背景として、AppleはMLSと同様にアメリカ国外の権利獲得も希望していたことが理由としてあげられています。


もし、本当にAppleがプレミアの放映権を希望するのであれば、イギリスだけにとどまる話ではなく、他国にも波及するものと思われますが、イギリス以外の放映権料は3年間で53億ポンドであり、こちらはさらに伸びる余地があります。


NFLサンデーチケットでは年間25億ドルという金額も報じられていましたので、その分の予算をプレミアにつぎ込めば、グローバルとまではいかなくてもそれなりの国で権利を獲れる可能性はあります。逆に言えば、いきなりイギリスではなく、もっと安い国から始めればいいんじゃないかとも思いますが、本国を攻略することは対外的なアピールとしては有効でしょう。あとはコストパフォーマンス的な判断です。


まぁ、いろいろと妄想をめぐらせることができるいまが一番楽しい時です。また、今後新たな情報が出てきましたら、随時お知らせしていく予定です。

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