倉敷さん提言動画に必要なのは「きれいな電通」か。

サッカージャーナリスト・小澤一郎さんのYouTubeに倉敷保雄さんがゲスト出演し、海外サッカーの放映権高騰について語っています。

冒頭で倉敷さんは、日本ではサッカー以外にも娯楽がたくさんあること、そして現状サッカー中継の多くは赤字であることを指摘していますが、この2点だけで多くのことが言えるのではないかと思います。


要は他の娯楽との競争であり、その結果ファンが増えずに赤字になるのであれば、その対策はファンをさらに増やすべく努力するのか、それとも高値で放映権を購入するのをやめるのか、どちらかしかないわけですね。倉敷さんも小澤さんもサッカー業界の中の人ですから、当然ながら前者を志向するわけですが、後者の選択肢ももちろんあるわけです。


倉敷さんは放映権高騰の対策として、非現実的だと前置きしつつ「ジャパンコンソーシアム的なものがすべての放映権を購入し、参加した放送局で共有する」という案を示しています。まぁ、確かに非現実的です。できない理由はいくらでもあげられます。


筆者としては、コメント欄にあった以下の文言に着目しました。

要するに綺麗な電通が必要ということですね。


ジャパンコンソーシアム(以下JC)というのは要するに電通であり、電通がIOCやFIFAと代理店契約を結び、NHKと民放から資金を集めることで成立しています。同様のことを電通抜きでできるのか。早くそういう存在が現れてほしいとは思うのですが、現状では難しいものがあります。


電通がIOCやFIFAに食い込むためにこれまでどれだけの努力をしてきたかは認めなければなりません。その中にはダーティーなものもあって、その内容は『電通とFIFA』など詳しい本が何冊も出ていますからそれらを読んで頂ければと思いますが、その結果として電通以外の代理店には放映権を取り扱えなかったわけです。

さて、その状況は変わりつつあります。五輪については2032年まで契約済みですが、FIFAについては昨年限りで電通が代理店から外れました。他の競技においても電通の影響力が低下していることは見てとれます。


すでに昨年のカタール大会でJCは事実上崩壊しましたが、今後JC的なものをまた作ったとしても、電通は日本における唯一の代理店ではありませんので、他の外資系の代理店に持っていかれればそれまでということになります。


五輪では、欧州における放映権をディスカバリー(ユーロスポーツ)が獲得し、各国の公共放送がライセンス取得に苦労するという現象が発生しました。さすがに反省したのか、現在ではEBU(欧州放送連合)とディスカバリーが共同で購入する形となりましたが、似たようなことが日本で起こる可能性はもちろんあるわけです。今まで観られたものが、今後もそのまま観られるという保証はどこにもないのです。

どうも後ろ向きな話ばかりなので、前向きなことも書いておきますが、無料で露出する機会を増やすという意味では、鍵になるのはやはりFASTではないかと考えられます。DAZNもすでにグローバル対象にFASTのチャンネルを立ち上げ、日本でも提供することを示唆しています。JCとまではいかなくても、各社が協力して合同のFASTチャンネルを立ち上げるといった動きはあってもよいかと思います。

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