【自転車】JCLの4レースもJプロツアーに移動。

年内最終営業日となる12月29日、JCL(ジャパンサイクルリーグ)から2024年の方針に関するニュースリリースが出されました。


具体的な名前はあげられていないものの、新しいパートナー候補と「グローバル・パートナーシップの締結」に向けて協議を進めていることが明かされています。そのパートナーシップには、日本国内で新たなレースを開催することが盛り込まれているようです。

先日取り上げた通り、来年のJプロツアーの参加チームリストに、今年までJCLに参加していたチームが含まれていたことから、JCLとしても何にもメッセージを発信しないまま年を越すわけにはいきませんでした。また、現状決まっていないことについては発表しようがないことも理解できます。でもまぁ、具体的な中身がないと言われても仕方ありません。

12月28日にはJプロツアーの来季カレンダーが発表されています。今年はJCLとして開催された4レースが来季はJプロツアーとして開催されます。


栃木の2戦については宇都宮ブリッツェン、広島の2戦はヴィクトワール広島が開催に携わっているレースであり、チームとともに移るというのは自然な成り行きのように思われます。


JCLが開催していた残り1戦の「高知県宿毛市ロードレース」については来年の開催がどうなるか明らかになっていません。UCI公認の国際レースとなるのか、こちらもJプロツアーに組み込まれるのか、はたまた開催されないのか。


この動向が確定した時点で、来季のJCLがどうなるかが明らかになるわけですが、少なくとも独自のポイントランキングをもってチームや選手を表彰する仕組みはなくなるでしょう。JCLはUCI公認レースの主催と、「JCL TEAM UKYO」の運営に特化する方向に進んでいくものと考えられます。

では、JCLが新しいパートナーシップとやらで計画しているレースとは何なのか。「世界に繋がるレース」というコンセプトが示されています。つまり、従来国内で開催されてきたレースよりも距離が長く、そして激しいアップダウンがある厳しいコースということでしょう。


そうなると、理想としては東京五輪で使用されたコースです。現実的には、東京五輪のレガシーを継承する目的で12月3日に開催された「THE ROAD RACE TOKYO」がモデルになると推測されます。


このレースにはJCLが後援しており、また片山右京氏が常務理事を務めるJCF(日本自転車競技連盟)が運営に携わっていました。このレースがスケールを拡大し、UCI公認レースとなって毎年開催されるというのは充分に考えられるシナリオです。

UCI公認レースを増やしていくという方針自体は正しいものでしょう。今年は「ツール・ド・九州」も新たに開催されました。その一方で、ツール・ド・北海道では痛ましい事故が発生しました。来年の開催は断念する方向と聞いています。充分な反省と安全対策の強化が必要です。


ただ、JプロツアーはJCFの加盟団体であるJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)の運営であり、JCFが音頭をとってレースをどんどん増やしていくというのは、それはそれでどうなのか…という問題があるわけです。当然それをよく思わない人もいるでしょうし、いろいろと軋轢があるんだろうと想像できます。

今年はGCN+の終了と、(リーグとしての)JCLの事実上の終了という大きな節目を迎えることとなりました。なので、DAZNが自転車に参入してきた2017年より前の状況に戻ったとも言えます。では、この7年間に起こったことは何だったのか。結果は失敗だったとしても、チャレンジすること自体は無駄ではなく、そこで得られた教訓が未来を変えるはずです。


来年、また新たな変化の動きが出てくるのか。それとも「元に戻ってよかった」と安堵する声であふれるのか。日本におけるサイクルロードレースの未来は分岐点に差し掛かっています。もちろん前向きな未来が見られるであろうことを期待しつつ、今年の締めくくりと致します。

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