【2023年第3位】Bally Sportsが経営破綻
このニュースは現在進行形です。最近も、NHLの11チームが暫定的に今シーズン終わりまでの放映権契約を結んだとのニュースが出ていました。
これでNBAとともに今シーズンは保証されました。MLBについても来シーズン限定の契約が結ばれる見込みと報じられています。裏を返すと、それ以降の保証はないという意味にもなります。
第一報は今年1月までさかのぼります。アメリカのRSN(Regional Sports Network)大手であるBally Sportsの運営会社・DSG(Diamond Sports Group)が、連邦破産法第11条(いわゆるチャプター11)の申請を準備していると報じられました。そして、MLBの開幕を間近に控えた3月14日に申請が行われました。
それ以降、いくつかの球団に契約打ち切りの危機が報じられました。実際に離脱が決まったところとしては以下があげられます。
- サンディエゴ・パドレス(MLB) →MLB管理
- アリゾナ・ダイヤモンドバックス(MLB) →MLB管理
- フェニックス・サンズ(NBA) →地元の地上波局
- アリゾナ・コヨーテズ(NHL) →地元の地上波局
- ミネソタ・ツインズ(MLB) →今季で契約満了のため更新せず。来季は未定
Bally Sports以外でも動きが出ています。WBD(ワーナーブラザーズ・ディスカバリー)は、傘下の「AT&T SportsNet」から撤退を表明し、放送局を売却しています。
このようにRSNというビジネスモデルは曲がり角にいるわけですが、かつての勢いがなくなったとは言え、廃れたというわけではありません。これまではCATVのによって支えられてきたものが、今後はストリーミングなどに移行していくものと考えられます。同時に、露出の増加をめざしてローカルの地上波に回帰する動きも出てきています。
DSGの親会社はCATV大手のSinclairであり、ストリーミングへの移行は自らの首を絞める行為だとも言え、舵取りが難しくなっています。WBDも自らのストリーミングサービス「Max」の強化を進めており、CATVは決して美味しいビジネスとは言えません。
そんな中、AmazonがDSGに資本参加する可能性が報じられています。資本的にもストリーミングサービスの傘下になることで、自由度が増せばRSNも息を吹き返すかもしれません。
日本も決して対岸の火事ではなく、地域密着を掲げるスポーツビジネスにおいて、ローカルメディアでの露出を増やすこと、そしてそこから収益をあげることは必要不可欠です。とくにJリーグでは、今年からDAZNとの契約が見直され、J3が対象から外されました。今季は引き続きDAZNで全試合が配信されましたが、来季については現時点で発表がありません。
もともと地上波はDAZNの契約から外れているため中継ができたのですが、この見直しによってCATVや他のストリーミングにも門戸が開かれたことに注目する必要があります。放映権料を安価に抑えることで、ローカルの小さなメディアでも中継できるようになれば活性化につながるでしょう。
そして、この動きはJリーグ以外のスポーツにも広がっていくことが期待されます。アメリカのRSNは拡大の一途をたどった結果、現在の危機に陥ってますが、身の丈に合った小規模なRSNが日本にもできるといった展開も今後は考えられるでしょう。
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