まだ決まらない来季の欧州CL/EL。

EURO2024本大会に続いて、気になるのが来シーズンからの欧州CL/ELの放映権です。とくにCLはフォーマットが刷新され、参加クラブも試合数も増えるため、UEFA側もさらなる放映権料の上積みを狙っていることは明白です。でも、円安が続く日本では無い袖は振れません。


UEFAのWebサイトにある入札情報には、現時点で日本向けの入札に関する情報はありません。なので、まだ実施していないことが考えられますが、過去の経緯を振り返ってみるとなかなか複雑であり、断定できる材料がありません。もう実施済みで、希望額の入札がなかったという可能性も充分に想定されます。

前々回のサイクル(2018-19シーズンから3年間)で放映権を獲得したDAZNですが、発表は2017年6月15日、つまり1年以上前のことでした。


当時は分かっていなかったのですが、DAZNは日本だけでなくタイ・フィリピンなど東南アジアでも権利を獲得していました。将来的に進出を狙っていたものと考えられます。

しかし、2020年のコロナ禍によりDAZNは経営危機に陥ります。これにより契約途中で権利を手放すことになったのは記憶に新しいところです。その経緯については以前当ブログでもまとめました。


まだ契約は1年残っていたわけですが、グループステージについては放映権を引き継ぐところはなく「UEFA.tv」で配信。決勝トーナメントからWOWOWが放送しています。

前回のサイクル(2021-22シーズンから3年)についても引き続きWOWOWが権利を獲得しました。発表は2021年7月20日で、シーズン開幕まで2か月を切っていました。DAZNの時とは異なり、かなりぎりぎりの決着になったことがうかがえます。


UEFAのWebサイトによると、前回について日本で入札が行われたかどうかは定かではありません。もちろん入札があったとしても、DAZNは道義的に参加できなかったでしょう。最後の1年間を引き継いでくれたWOWOWに何かしらの優先権があったという可能性も考えられますが、いずれにせよ手をあげるところは少なかったように思われます。

以前、アジアカップ関連でAFC主催大会の放映権料が60%下落したという記事を紹介しましたが、実は同じ記事に欧州CLに関する記述もあります。これによると、なんと75%下落したと書かれているのです。それだけWOWOWが割安に獲得できたと考えるべきか、それともDAZNが割高に獲得していたと考えるべきか。


The fee increase the Premier League has secured in Japan is significant and stands in stark contrast to the recent fortunes of other major rights-holders in the market. The value of Asian Football Confederation rights dropped by 60 per cent in the current cycle, while the value of Uefa club competition rights has dropped by 75 per cent.

ということで、具体的な金額ははっきりしないものの、今回はこの75%下落した金額がベースとなりますので、円安の影響を割り引いてもそれなりに関心を示すところはあってもよいかと思います。一方、UEFA側としては前回はあくまでも特殊なケースです。改めて強気な姿勢をとってくるならば、また開幕ぎりぎりまで長引くことになるでしょう。


EURO2024本大会のところでも書きましたが、平日の深夜~早朝に開催される試合を熱心にライブで視聴する層は限られています。主に若者ということになるでしょうが、若者にとってサブスクの負担は厳しいものです。逆に、広告主にとっては若者層向けに出稿したいところが多いので、広告収入をいかに得られるかが権利獲得のカギとなります。


WOWOWはテレビですからCMを流しやすいメリットがありますが、ラ・リーガの権利を失ったことで、海外サッカーに今後どう向き合うのか姿勢を問われることになります。もちろんDAZN復権というシナリオもあり得ます。ABEMAもCMが増えつつありますが、無料配信となると単独ではきついものがあり、プレミアやブンデスのようにサブライセンスの獲得に動くことが考えられます。

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