ABEMA、プレミア2年目の視聴者数を発表。

EURO2024の放映権獲得が期待されているABEMAですが、こんなプレスリリースを出しています。今シーズンのプレミアリーグ中継について、累計視聴者数が2,600万に達したとのことです。


これについて検証したいと思ったのですが、ひとつ困ったことが。すでにABEMAのサイトから今シーズンの動画が削除されているのです(5/30時点)。つまり、SPOTV NOWとのサブライセンス契約はいったん切れた形です。昨年も5/31には削除されていたので予定通りの行動ではあるのですが、再生回数を確認することはできませんでした。

この累計視聴者数ですが、まずABEMAは毎節3試合を中継したので、38節・計114試合を中継したことになります。2,600万を114で割ると、1試合あたり22.8万となりますが、無料枠と有料枠があるため、実際にはばらつきがあるものと推定されます。


また、この視聴者数については以下の注意書きがあります。ライブだけでなく、ハイライトの視聴も集計に含まれているのです。ハイライトは無料で視聴できることから、これで結構な数字が足されているものと考えられます。

※ 「ABEMA」で配信しているプレミアリーグの生中継やハイライト、ノンライブのサッカーに関するコンテンツ


具体的な数字がないので想像するしかありませんが、純粋にライブのみの視聴者数は平均の22.8万人を大きく下回ると考えざるを得ません。また、有料枠に限定すればさらに少なくなることは自明です。


昨年はこのような発表がなかったため、昨年と比べて視聴者数がどれだけ増えた(減った)かも分かりません。年代別では20代の視聴者が「40%増加」したという書き方をしていますが、これだと人数の変化は分かりませんし、そもそも比率の変化を比率で表すべきではありません。細かいですが「7ポイント増加」と表記すべきでしょう。


若年層の視聴者が増えるというのは、SPOTV NOW側としてもサブライセンスを出したことに大いに意味を持たせるものです。ただし、一般的には若年層のほうが支出が少ないので、ABEMAにとっては痛し痒しですが。広告収入でどこまでカバーできるかにもよりますが、単独でペイするのはなかなか厳しそうにも見えます。ただ、ここは将来に向けての投資と考えるべきでしょうし、他のスポーツコンテンツと合わせて採算が取れればOKと言えます。

SPOTV NOWのYouTubeチャンネルによると、ハイライトの視聴回数がもっとも多いのは昨年12月3日のリヴァプールvs.フラム戦で280万回となっていました。この試合はABEMAでは配信されていません。


視聴回数と視聴者数は異なる数字なので、単純に換算はできないものの、日本国内におけるプレミアリーグの潜在的なファン数は100万人以上いると考えてよいかと思います。そのうちどれだけの人数がABEMA、そしてSPOTV NOWに課金したかでビジネスの成果は測られることになります。

SPOTV NOWの放映権は3年契約の2年目が終了し、残り1年となりました。2025-26シーズンからはU-NEXTに移動するのではとも報じられています。元記事を出したSportBusinessは、前回のSPOTV NOWのときも真っ先に報じましたので信頼性は高いと言えます。


放映権料は年間2,670万ドルと言われています。ABEMAのサブライセンス料は不明ですが、毎節10試合のうち3試合を配信しているので、単純に3割と仮定すると800万ドルとなります。


ABEMAにとってはなかなかの投資と言えますが、SPOTV NOWにとっても、もし来シーズン限りで権利を失うのであれば、なんとしても投資額を回収しにかかるかもしれません。引き続きサブライセンス契約が結ばれるのか。また、SPOTV NOWが価格設定をどうするのかも大きな課題となります。


つらつらと書き連ねましたが、一見景気がよさそうにみえるプレスリリースでも、実際のところ何かしら隠してる材料があるのでは・・・と懸念する内容でありました。

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