EURO放映権余波。CA・WOWOWの株価下落。

先週土曜朝にWOWOW、今週月曜夕方にABEMAが立て続けと発表したEURO2024の放映権獲得。この手のプレスリリースは週末に多く出される傾向があるのですが、この時間帯からもバタバタぶりがうかがえます。

週末に多いのは、もちろん仕事の区切りだからということもありますが、土日は他社からの発表が少ないので余韻を残せるというのがひとつの理由です。また、上場企業だと株価が大きく動くリスクを弱めるため、市場が閉まる15時以降に出すことが一般的です。

両社の株価なのですが、ABEMAの運営会社であるサイバーエージェントは月曜・火曜と続落しています。また、WOWOWも同様に続落となりました。放映権料がいくらかは公表されていませんが、ABEMAは全試合無料ということで利益を圧迫するという見方が強いものと思われます。

ギリギリの決着でだいぶディスカウントされているものと期待されますが、それでも数億円規模にはなりそうです。CMについても事前のセールスがほとんど行えないため、大幅な増収は見込めないでしょう。

某スポーツ紙所属を名乗る記者について以前触れました。この記者は「ABEMAにほぼ決定」とXでポストしていました。結果的には当たっていたとも言えますが、当たっていたからそれでよいというものではありません。不確定情報を自らの媒体を通さず、「噂」として流すスタンスを問うています。

この記者は昨年末にも「DAZNが500円値上げ」というポストを行いました。これも結果としてはその通りになったのですが、当ブログではその際も批判的に取り上げています。

この記者はその後もポストを続けており、ABEMAとWOWOW、さらにはDAZNの名前も出しています。あやふやな情報がきっかけで「悪者探し」のような状況になっていることを危惧します。とくにDAZNはとばっちりもいいところです。

さて、両社のプレスリリースが2日ずれて出されたことについて改めて考えることにします。両社が協調していたのか、それともしていなかったのかはまだ分かりませんので、現時点で誰かを悪者にするようなことはしません。ただ、結果として2日の間隔が空いたことはユーザーに対して不幸なことです。とくにこの間にWOWOWを契約した人は、両社を批判する資格があると思います。

昨年6月20日、DAZNとU-NEXTが共同でラ・リーガの放映権を獲得した際には、両社が同日にプレスリリースを出しています。お互いの社名こそ出していませんが、足並みを揃えることでユーザーに選択の余地を与えることが大事です。

「WOWOWを立てるためにABEMAが発表を遅らせた」といった言説が一部出回っています。これが事実かどうかは分かりませんが、もし事実であれば余計なお世話ということになります。

サブライセンスの可能性を唱える言説もありますが、両社のプレスリリースにはサブライセンスを示唆する文言はありません。そもそも、サブライセンスであれば全試合出す必要はありません。これまで全試合出した例は聞いたことがないですね・・・

ABEMAがサブライセンスを取得した時のプレスリリースを読むと、2022-23シーズンのプレミアリーグではサブライセンスに関する記載がなかったのですが、2023-24シーズンでは以下の文言がありました。

※「ABEMA」でのプレミアリーグは「SPOTV NOW」（サービス提供元：株式会社 LIVE SPORTS MEDIA）とのパートナーシップにより配信しております。

また、ブンデスリーガについても以下の文言が確認できました。

※「ABEMA」でのブンデスリーガは「スカパー!」（サービス提供元：スカパーJSAT株式会社）とのパートナーシップにより配信。なお、「スカパー!」ではブンデスリーガを全試合中継・LIVE配信しております。

WOWOWは楽天からNBAのサブライセンスを受けていますが、WOWOWのブレスリリースではサブライセンスの記述がなく、代わりに楽天側から発表されていました。

株式会社WOWOWは楽天グループ株式会社とサブライセンス契約を締結し、NBA 2023-24シーズンの試合を放送・配信することが決まった。

ということで、必ずサブライセンスについて書かなければならないわけではありませんが、両社ともに触れていないのですから違うような気もします。

ということで、サブライセンスではなく2社それぞれが非独占で契約した可能性が高いというのが当ブログの予想です。そのうえで、事前に両社が協調して動いていたのかが問われることになります。

お互いがもう1社の名前を知らされぬままに代理店と契約したというシナリオも考えられるのですが、コメンタリー陣の確保など事前の動きからある程度察知できるのではないでしょうか。WOWOWがABEMAの影におびえ、契約成立後直ちに発表した・・・なんて妄想もできますけど、これだと一本の小説が書けるレベルです。