テニス男女ツアーが合弁会社設立へ。統合も視野。

テニスの男子ツアーを統括するATPと、女子ツアーを統括するWTAは、2025年前半にも「Tennis Ventures」という合弁会社を設立し、商業部門を統合すると報じられています。将来的にはツアーそのものの統合も視野に入っているそうです。


現在、ATPの収益はWTAの約4倍だそうで、この通りだと両者の収益は80:20で配分されることになりますが、合弁会社では75:25になるとされています。

もともとATP・WTAともにツアーの規模が肥大化しており、効率化が叫ばれていました。そこにコロナ禍が発生して大きな打撃に。また、WTAでは中国の彭帥選手が性的被害を告発した後、消息が不明になるという事件が起こり、コロナ禍を脱してからもしばらく中国での大会は開かれませんでした。(昨年復活)


2021年にはATP、WTA、ITF(国際テニス連盟)、四大大会の主催者が集まり「T7」というワーキンググループが結成。運営の効率化について議論を重ねています。

2023年にはATP・WTAの共催となる男女混合の団体戦「ユナイテッドカップ」が開始。また、公式アプリが統合されるといった動きもありました。そして、9月には両者が統合に向けた協議を開催すると報じられています。

上記の記事では、背景としてサウジアラビア資本の脅威に対抗するためといった記述がありますが、実際にはその後着実にサウジマネーが食い込んでいます。ATP・WTA双方とスポンサー契約を結び、世界ランキングのネーミングライツを獲得。また、WTAは今年からツアーファイナルをサウジで開催する予定です(2026年まで3年契約)。


対中国では人権問題に強固な姿勢を見せたWTAですが、商業的にはダメージを受けており「スポーツウォッシング」と批判されているサウジとの関係を意識せざるを得ません。また、男女平等の観点から賞金額を男子と同等に引き上げる動きもあり、今後ますます支出が増えていきます。

昨年、WTAは投資会社のCVCキャピタルパートナーズから1.5億ドルの出資を受け入れています。CVCはATPにも接触していたとのことで、こちらの動きもまた注目されるところです。今後解決しなければならない問題が山積みですが、まずは大きな進展がみられました。

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