大谷選手の経済効果、5月の試算から300億円増加。
関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、2024年の大谷翔平選手がもたらした経済効果は約1,168億円になったとのこと。正直、MLB史上でも屈指と言えるレベルの成績を叩き出し、どう取り扱ってよいのかが分からなくなっています。
5月に出された試算では865億円となっており、そこからさらに300億円を積み上げたことになります。ただ、この数字はあくまでも経済効果、すなわち大谷選手がもらっている金額ではなく、その周辺で発生する需要を積み上げたものであることに留意ください。
この記事が出てからいろいろ反響がありましたが、とくに目立ったのがMLBの放映権料に関する話です。宮本名誉教授の試算では、NHKがMLBに支払っている放映権料を「約125億円」と推定しており、そのうちドジャースの試合が7割放送されると仮定して、87億円を経済効果としています。
この数字もあくまで推定にしかすぎません。筆者の感覚としては、NHKだけじゃなく民放各局なども合わせればこのくらいでもおかしくないと思いますが、NHK単独だとどうかな・・・といったところです。でも、SNSだとこういう数字はどうしても独り歩きします。
同様のタイミングで、2023年度のNHKの決算が136億円の赤字と発表されたことがそれに火を付けました。125億円と136億円。単に数字が近いからというだけで、両社を結び付ける乱暴な意見が目立ちました。
言うまでもなく、MLBの放映権をNHKが買わなくなったとしても、125億円がまるまる浮くわけではなく、空いた放送枠は別の番組で埋める必要があります。NHKはMLBを年間200試合放送しており、1試合3時間としても600時間、さらにニュースなども加えると800~1,000時間程度の枠を埋めないといけません。もちろん制作費もかかるわけです。
個人的にはもっと日本で行われているマイナーなスポーツを拾ったほうがいいんじゃないか・・・といった思いもありますが、この手の議論をするのであれば、空いた枠をどうするかもセットで考えるべきでしょう。もちろん、全部再放送で埋めちまえ、といった意見もそれはそれでありかと思います。NHKの価値のひとつとして、蓄積してきたアーカイブの力があげられます。
ちなみに、NHKが赤字になった理由のほとんどは受信料の引き下げによるものです。今後はコスト削減によってその穴を埋めていくことになります。スポーツの放映権料はここ数年でもカットが続いてきました。以下の記事は2021年度からの3か年計画ですが、2024年度からの新たな計画でも引き続きコンテンツ削減が謳われています。さて今後はどうなるでしょうか。
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