WOWOW、テニスATPツアーを終了。
WOWOWは、男子プロテニスの「ATPツアー」の中継を今シーズンで終了すると発表しました。来年は主にグランドスラム(四大大会)の放送となります。
WOWOWがテニス中継を開始したのは開局の翌年にあたる1992年のことで、30年以上続くいわば看板コンテンツです。もっとも、ATPツアーの放送開始は2018年なのでそこまでは長くないのですが、看板の一部を失うというのは結構なインパクトがあります。
テニスは試合開始の時間が安定せず、試合の長さも分からないスポーツであり、地上波では取り扱いが難しいのですが、衛星放送のWOWOWらしいチャレンジでここまで育ててきたと言えます。最近ではオンデマンドでの配信も手がけるようになり、むしろかつてのデメリットが強みに転化されてきたようにも思われたのですが・・・残念です。
錦織選手の全盛期が過ぎ、フェデラー選手は引退。そして、今年ナダル選手も現役を退きました。それでも30年間の積み重ねがあれば、テニスそのもののファンはついてきますし、WOWOWのプロデューサーも選手に頼らない番組作りを意識してきたと語っています。それでも撤退せざるを得ないというのは、数字をシビアに解釈した結果だと言わざるを得ません。
ATPツアーの放映権についてあまり詳しい情報は持ち合わせていませんが、代理店はIMGであり、下記Webサイトを見る限りでは、マスターズ/500/250とそれぞれのシリーズごとに販売しているようです。マスターズについてはGAORAも権利を持っていますが、こちらも来年以降継続されるのかは不明であり、追って発表を待ちたいと思います。
https://www.img.com/portfolio/sports/tennis
また、ATPの公式ストリーミングサービスである「Tennis TV」でも視聴することができます。もし新たな放映権契約がなければ、こちらが唯一の選択肢となるかもしれません。
通常、放映権が販売されている国ではブロックされることが多いのですが、Tennis TVはブロックしていないそうで、WOWOWやGAORAは独占契約でないことが分かります。独占でなければその分金額を抑えることができますが、テニス以外のコンテンツに興味がない純粋なファンたちが流れる恐れがあります。
最近は公式のストリーミングを提供するスポーツが増えていますが、公式が便利すぎると放映権のセールス的にはマイナスになるため、バランスが問われることになります。
金額を抑えているにも関わらず更新を断念しているわけですから、その裏でどんな交渉が行われていたのか。さらに高値を提示した業者が現れたのなら、ファンはともかくATPにとっては幸せなシナリオですが、現れなければ日本におけるテニス人気の低下が明白なものとなります。もちろん円安の影響もあるでしょうが、WOWOWが断念したという事実がなんとも大きい。
もし移動があるとすれば、有力候補はU-NEXTでしょうか。12月8日に開催される「ドリームテニスARIAKE」に冠スポンサーとして協賛し、ライブ配信も行うことを発表しています。IMG主催のイベントということでパイプも構築されます。
サッカーや格闘技、ゴルフなどに力を入れているU-NEXTですが、テニスの配信はおそらく初めてになるかと思います。この大会の配信をきっかけに、XやInstagramのアカウントも新たに作っていますので、単発で終わる話とは考えにくいです。
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