【第一報】DAZN、2023年は14億ドルの赤字。
DAZNが本来ならば昨年末までに提出予定だった、2023年の決算書をまだ出していないという話を以前書きましたが、1月23日付でイギリスの当局に提出されていたことが分かりました。ただし、一般公開されるまでには最大で10日かかるとのことなので、内容については公開後にまた紹介します。
【追記】
1/25朝の時点で公開されていました。後日詳報をお届けする予定です。
https://find-and-update.company-information.service.gov.uk/company/06324278/filing-history
翌24日には、DAZNのWebサイトで2024年版の「COMPANY UPDATE」が発表されています。すでに2023年の売上は32億ドルであることは公表されているのですが、2024年には34億ドルになったとしており、さらに2025年には60億ドルを見込んでいるとのことです。
https://dazngroup.com/wp-content/uploads/2025/01/DAZN-COMPANY-UPDATE-2024.pdf
この60億ドルという数字には、昨年末に買収を発表したオーストラリアのFoxtelの売上が含まれるものと考えられます。Foxtelの親会社であるNews Corpの決算をみると、2024年6月締めの決算において、"Subscription Video Services"の売上が約19億ドルであると記されています。
https://newscorp.com/wp-content/uploads/2024/08/Q4-FY2024-Earnings-Release_FINAL_8-August-2024.pdf
今年開催されるFIFAクラブワールドカップの放映権をグローバルで獲得し、無料配信を行うことも広告収入の増加に大きく貢献するでしょう。もっとも、支出も10億ドルほど増加することになりますが。
売上も大事ですが、もっと大事なのは利益です。決算書はまだ公開されていませんが、イギリスのFinancial Times(FT)はすでに入手済みで、記事が掲載されています。それによると2023年は「14億ドルの赤字」だとのことです。
前年(2022年)は売上が約22億ドルで、12.5億ドルの赤字でした。2023年は売上が12億ドル増えたものの、赤字はさらに拡大したことになります。売上が増えた要因は主要市場での値上げと、Eleven Sportsの買収ですが、値上げによってもまだ赤字体質は改善できていません。
ただ、FTの記事によると、2024年はDAZNの「上位10市場のほとんど」で黒字になる見込みだとしています。上位10市場の中に日本はもちろん入っているのですが、日本市場が黒字になっているのかどうか。3年連続で値上げしたのですから、黒字になってもらわないと困るのですが・・・
これだけの赤字続きですから、親会社であるAccess Industriesの負担も莫大になっています。2021年末には43億ドルの資金を提供し、累積損失をいったん清算しましたが、その後もAccess社からの資金提供は続いており、現在の総額は67億ドルに達しているとのことです。日本円だと1兆円を超えてしまいます。
まだ正式には発表されていませんが、近日中にもサウジから10億ドル規模の出資を受けると報じられていますが、上述したクラブワールドカップの放映権料でほぼ相殺される見込みです。
FTの記事では、他の投資家を引き入れる可能性についても触れられており、また株式上場の計画も引き続き進められているとのことです。世界のスポーツ界を巻き込み、1兆円を超える資金が投じられた大きな賭けは今年もまだまだ続きます。
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