NYのローカル局、CATV会社と泥沼係争中。

ニューヨークのRSN(Regional Sports Network)であるMSG Networksは、同じくニューヨーク周辺で高いシェアを持つ通信・CATV会社のOptimumとの契約交渉で揉めており、昨年末をもってチャンネルの提供が終了してしまったとのこと。


この手のトラブルはアメリカではよくあることですが、1か月以上経過した現在でも解決に至ってないというのは珍しいです。MSG NetworksはNBAのニューヨーク・ニックス、NHLのニューヨーク・レンジャーズと同じ系列であり、これらの試合も地元で視聴できなくなっています。影響を受けている契約者は100万人を超えているとのこと。

昨年、MSGは同じくニューヨークを拠点とする同業のYES Networkと合弁会社を立ち上げ、「The Gotham Sports」なるストリーミングサービスを開始しています。Optimumの契約者は、試合が観たければこのサービスに契約するしかない状態です。その場合、YES Networkについては二重契約となってしまいます。

Optimum側は、MSGが要求する金額が高すぎるとしています。Optimumは基本パッケージからMSGを分離し、専用チャンネルとする案を提示しましたが、MSG側は拒否しました。


従来は基本パッケージに含まれていたので、スポーツを観ていない人からも料金を徴収していたことになります。専用チャンネルとなり、観たい人だけが観る形となるほうが健全だとも言えますが、必然的に料金は割高になります。


OptimumはMSGに対して、契約者一人あたり月10ドルを返金すべきだと主張しています。ですから、従来Optimumが支払っていた金額は月1,000万ドル程度であり、今回MSGはさらなる増額を要求しているものと考えられます。

その裏ではいろいろと邪推する声も。MSGの親会社はラスベガスにある巨大な球体「スフィア」でも知られるSphere Entertainmentですが、Sphere社は巨額な債務を抱えており、このまま交渉を長引かせることでMSGをわざと破産させ、債務を圧縮しようとしているのでは・・・なんて書かれています。


一方で、Optimumの親会社であるAltice USAもまた債務にまみれており、MSGに支払う金額は少しでも節約したいところ。すぐに妥結する理由は両社ともにないわけです。

ホワイトナイトとして期待されているのがAmazonです。Amazonは昨年、破綻処理が終了したFanDuel Sports Network(旧Bally Sports)と契約し、RSNを補完する役割を担い始めました。MSGが要求する金額をAmazonがぼんと支払えば、これでめでたしめでたしというわけですが・・・本当なんでしょうか。


結局のところ、スポーツの放映権料が他のジャンルと比較しても高いのだと言わざるを得ません。その収益は、ごく限られた一部のスター選手に集中して配分されることになります。これが健全な姿なのかどうかは、改めてよく考えなくてはいけません。

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