YouTuber実況のハムショー氏、パ・リーグが公認。

YouTuber事務所のUUUMは、所属のハムショー氏のチャンネル「ハムショーのスポーツ実況ch」が、パ・リーグ主催試合の許諾を得たと発表しました。この手の公認はおそらく初めてのケースになるかと思います。


北海道出身で日本ハム戦の実況を中心に行っているハムショー氏ですが、今回の契約は日本ハム球団の運営会社とUUUMによって結ばれています。日本ハムがパ・リーグ6球団の代表的な窓口となった形ですが、こういうのはPLM社じゃないのか・・・とも思ったり。

昨年9月、NPB(日本野球機構)は12球団統一のガイドラインを発表し、今年2月から施行されています。このガイドライン自体には賛否両論いろいろな意見が飛び交っていますが、今回の契約によって、ガイドラインに抵触せず自由に実況できることになります。

UUUMのプレスリリースを読む限りでは、実況だけでなく試合データの使用についても許諾が出ています。データはどこまで自由に利用できるのかというのは微妙な問題です。先日も将棋の棋譜をめぐって、高裁が地裁の判決を覆しています。


データ自体に著作権は発生するのか。しないとすれば、データを利用した配信は他者の利益を損ねると言えるのか。将棋もマインドスポーツの一種と定義すれば、この訴訟はスポーツ界全体に大きな課題を突き付けていると解釈できます。

当ブログで扱っている「放映権」も、法律で定義されているものではありません。試合の主催者が持つ「施設管理権」や、選手の「肖像権」など、複数の権利が複合したものとして扱われます。


試合の映像を観ながら実況するという行為は、施設管理権も肖像権も侵害しているわけではありません。一方で、ラジオ中継はきちんと放映権を獲得したうえで放送されていますが、中には球場内のブースで実況するのではなく、いわゆる「オフチューブ」と呼ばれる中継も存在しています。


これとYouTuberによる実況にどんな差があるのか、正確に説明することは困難です。しかし、YouTuberによる実況が一般化すると、ラジオ局の利益は毀損されるわけですから、何かしらのガイドラインはやはり必要だということになります。


今後はいろいろな事例が発生し、いくつかは訴訟に持ち込まれることになるかと思いますが、グレーゾーンがある中で率先して「公認」を得ることはある意味賢い行動と言えます。ただ、その裏では歯がゆい思いをしている人も多いのでしょう。

ハムショー氏は、スポーツアナウンサーを目指していましたが就職活動で全滅し、YouTuberの道を選んだとのこと。テレビでのスポーツ中継がどんどん減っていく中で、さまざまな競技を実況できる汎用のアナウンサーよりも、特定の競技に特化したアナウンサーが重宝されるようになっています。


ただ、特定の競技だけで食べていくのもまた大変なことです。実況者の育成やキャリアプランの構築という点においても、今回の公認は一石を投じるものになるかと思います。

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