DAZN、リーグ・アンを逆提訴。5.73億ユーロ請求。
フランス国内におけるリーグ・アンの放映権料について、DAZNが一部の支払いを拒否している問題の続報です。
リーグ・アンを運営するLFPはこの件についてパリの裁判所に提訴しており、2月末にも仮の命令が出る見込みとなっていますが、今度はDAZN側がLFPを提訴しました。請求額は5億7,300万ユーロとのこと。
請求の大きなポイントは2点あり、ひとつは放映権契約を結ぶ際にリーグ側が提示した情報と現実に大きな乖離が生じているという点です。目標とされる150万件の契約に対して、現時点の契約数は50万件程度とされています。
昨シーズンまで権利を保有していたAmazonの契約数は120~130万件あったとされますが、DAZN側は事前の説明に虚偽があったのではないかとしています。確かに、スポーツ専門であるDAZNがAmazonとの同等の契約を得るのは難しいでしょうし、この数字のうち純粋にリーグ・アンによって獲得できたのはどれほどかを算定するのは難しいです。
もう1点は、違法視聴の対策が不十分であることに始まり、リーグや所属クラブからも十分な協力を得ることができず、DAZNが得たはずの「独占性」が保護されていないという点にあります。
前者の請求額は3億900万ユーロ、後者は2億6,400万ユーロとなっており、合計で5億7,300万ユーロとなります。
DAZNが結んだ契約は2024-25シーズンから5年間で、放映権料は年間3.75億ユーロです。2025年末をもって契約を解除できるオプトアウトのオプションが付けられていますが、DAZN側としては全力でコミットメントするとしており、行使の意志はないとしています。これもまた法廷戦術なのだとは思いますが。
5年契約を全うするのであれば、支払いの総額は18.75億ユーロとなり、今回の請求額である5.73億ユーロは約3割ということになります。
DAZNが一部の支払いを拒否したことで、クラブへの分配も滞ることになります。リーグ側は放映権等の管理会社に出資しているCVCキャピタル・パートナーズの協力を得て、準備金を用意することで予定通りに分配金を支払うとのことです。それだけ綱渡りの経営をしているクラブがあるわけです。
CVCはスポーツ界に幅広く出資しており、サッカーではラ・リーガにも出資しています。当然ながら放映権のマーケットがまだまだ伸びると踏んでいたわけですが、ここに来て発生した事態に面食らっているかもしれませんね。
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