日本の動画配信市場、U-NEXTの躍進鮮明に。

この時期の恒例となっている、GEM Partners株式会社が発表する日本の定額制動画配信(SVOD)サービスの市場調査です。2024年版が出てきましたので紹介します。


2024年の日本国内にゆける市場規模は5,262億円と推計されており、前年から+4%となりました。ここ数年二けた成長を続けてきましたが、伸びが鈍化したことになります。それだけ市場が成熟したとも言えますが、この調査では広告収入が含まれていないため、広告付きプランを導入するサービスが登場しているのも鈍化の一因でしょうか。

シェアでみると、U-NEXTが17.9%(前年比+2.7pt)と大きく増加しており、他のサービスは横ばいもしくは減少となっています。一人勝ちに近い状態です。2023年にはParaviを吸収したことで大きく伸びましたが、2024年もその勢いが継続しています。


このレポートは何年も継続されているので、過去にさかのぼって調べることもできます。参考として、DAZNがJリーグ中継を開始した2017年以降の数字をまとめてグラフにしてみました。上位のサービスと、スポーツ関連でLemino・ABEMAを追加しています。

金額ベースに直したのが以下のグラフです。Netflixはシェアこそ落としているものの、金額でみると引き続き成長しています。ただ、コロナ禍を背景に他社に大きく差をつけたかつてほどの勢いは感じられません。アメリカでは今年に入って値上げを実施していますが、日本でも同様に値上げを敢行するのでしょうか。


値上げと言えばやはりDAZNということになりますが、2022年から3年連続で行った値上げの影響はどうかというと、2021年の378億円に始まり、514→514→495億円という推移です。最初の値上げでは売上を大きく伸ばしましたが、2回目以降ではむしろ売上を落としており、成功だったとは言い難い状況です。今年は値上げを見送りましたので、再度増加に転じることはできるのでしょうか。

この金額から顧客単価を割ることで、おおよその会員数を推定することができるのですが、DAZNが出している決算の数字を比較すると、この調査は若干過大に推定されている懸念があります。2023年のDAZNのAPAC(アジア太平洋)での売上は約403億円で、この調査では495億円ですので20%超の差が出ています。もっとも、消費税を含めるかどうかや、どの時期の為替レートを採用するかでも結果が変わってきますが。


顧客単価の推定も結構難しく、とくにDAZNはオフシーズンに解約する人も多いでしょうから困難です。年間契約した場合は30,000円(当時)ですので、この前後あたりかなと勝手に推測します。その場合、この調査における推定会員数は165万人ということになりますが・・・そんなにいるんですかね。

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