Staylive Cycling、FLCS主催レースの配信なし。
ベルギーで開催される自転車のOmloop Het Nieuwsblad(オンループ・ヘットニウスブラッド)は、ヨーロッパにおけるサイクルロードレースシーズンの幕開けを告げるレースですが、日本では昨年、そして今年と2年連続で視聴できない状態にあります。
このレースの権利関係はなかなか面倒なのです。なので、春の幕開けを告げるとともに、この面倒くさい現実を知らしめる存在となってしまってます。
一昨年(2023年)までは「GCN+」が配信していましたが、GCN+がこの年限りで撤退してしまい、昨年(2024年)は配信先がありませんでした。昨年5月に「Staylive Cycling」が参入しましたが、もう遅かったのです。そして、今年こそはStayliveが配信するかと期待されたのですが、StayliveのWebサイトによると一部の国のみでの配信となっており、そこにJapanは含まれていません。
このレースの放映権について、箇条書きにすると以下の通りになります。
- 主催はフランダース・クラシック(FLCS)
- 放映権の代理店はinfront
- GCN+はWBD(ワーナーブラザーズ・ディスカバリー)の傘下であり、WBDはinfrontから放映権を購入していた
- Staylive CyclingはGCN+撤退後、WBDからサブライセンスを受けてサービスを開始
すなわち、Stayliveが日本向けに配信できなかったのは、WBDが日本向けの権利を購入していないからだとなります。GCN+の撤退後、そこまで面倒みてられないということなんでしょう。ただ、韓国や台湾などは対象となっており、どういう基準でこれらの国がリストアップされたかについては正直なところ謎です。
代理店のinfrontもなかなか厄介な存在だということは何度か触れております。2021年にもinfrontとWBDの交渉が難航し、GCN+での配信が決まったのはレース2日前だったということがあります。当ブログではinfrontの名前が出てくるたびに身構えております。
他のレースでは、FLCSが管轄するヘント~ウェヴェルヘムなどにも影響が及びます。FLCS以外でも、infrontが代理店であるアムステル・ゴールドレースも配信予定がありません。
なお、FLCSが管轄する最大のレースであるロンド・ファン・フラーンデレン(今年は4/6開催)については、昨年からJ SPORTSでの中継が復活しています。GCN+の撤退により、浮いた放映権をスポットで取り戻した形です。
ひとつの仮説として、この契約があるが故に、FLCSの他のレースについてもWBDが(日本向けの)権利を買えないのでは・・・という可能性もあるのですが、さすがに邪推が過ぎますかね。結局のところ、日本で盛り上がらないとこの程度の扱いになってしまうということです。
だったら、J SPORTSがFLCSの他のレースも放送してくれればいいのに、とも思うのですが、J SPORTSもそこまで積極的にサイクルロードレースを拡大させようという意志はなく、現状維持が精一杯といったところです。
日本におけるサイクルロードレースの一部放映権は、2017年のDAZN参入後、GCN+、そしてStayliveへと移っていきました。DAZNがいろいろやらかした、というのは事実ですが、その後GCN+もStayliveも盛り上がりを見せなかったということは、すなわち多くの視聴者がJ SPORTSだけで満足してしまっていると判断せざるを得ません。
もちろんJ SPORTSの中継のクオリティは高く、おおいにリスペクトしているのですが、個人的にはそれだけでは物足りない。もっと世界のレースをたくさん観たいと思っているのですが、現実には少数派であることを自覚しないといけません。
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