FOXの嵐。2015年ブンデスと2016年F1

ブンデスリーガは先週末に2部が開幕しましたが、いまだに日本国内での放映権が確定していません。2部にも多くの日本人選手が在籍しているだけに、ここまで決まらないというのは残念なことです。


以前にも取り上げましたが、昨シーズンまでスカパーが支払っていた放映権料は年間1,600万ユーロという報道があります。契約が結ばれた2020年当時、1ユーロは約120円でしたが、現在は約170円であり、それだけ4割ほどのアップとなっていますので、なかなか手が出しづらい状況だろうとは思います。ここまでもつれると、あとは我慢比べです。

https://www.sportspro.com/news/bundesliga-overseas-tv-rights-value-2020-21-espn-nent-bein/


開幕ぎりぎりまで放映権の行方が決まらない例としては、最近だと2023年のFIFA女子ワールドカップが開幕7日前(日本戦の9日前)にNHKでの放送が決定しました。また、昨年のEUROでも開幕7日前にWOWOWでの放送が決定しています(その後ABEMAも権利を獲得)。今後もこういった例は増えるでしょう。

ブンデスリーガでは、2015年にフジテレビが開幕1か月前に放映権獲得を発表したというケースが見つかりましたので、今回はその話を取り上げます。


といっても、当時は筆者も、そして世間も放映権問題にさほど関心を持っていなかった時期ですので、あくまでも現存する資料をもとにした回顧となりますことをご容赦ください。当時の状況に詳しい方は、ぜひ情報をお寄せ頂けると幸いです。

フジテレビは2007-08シーズンからJ SPORTSに替わってブンデスリーガの放送を行っていましたが、2013年3月、FOX Sportsがソフトバンクと日本で合弁会社を設立し、スポーツ中継に参入。「FOX bs238」でブンデスリーガの放送を開始しました。(その他NHKでも放送あり)

さらに2013年10月、FOX Sportsは2015-16シーズンからグローバルで全試合の放映権を獲得したと発表します(5年契約)。これにより、フジテレビはサブライセンスを購入しない限り2015-16シーズンの放送が続けられない事態となりました。

このピンチは突然風向きが変わります。2014年12月、FOX Sportsの日本支社であるFOX SPORTS ジャパン株式会社が日本での事業を終了すると発表したのです。外資系らしいと言えばそれまでなのですが、あっという間の手のひら返しです。


FOXのチャンネル自体はまだ残っていましたが、ブンデスリーガの全試合を放送する体制など整えられるはずもなく、フジテレビの放送継続が決まったのです。


なお、ソフトバンクとの関係からホークスの放映権は残りました。FOX bs238改め「FOXスポーツ&エンターテインメント」での放送が続けられましたが、FOX本体がディズニーに買収されたことによる再編にともない、2020年3月にFOXは完全撤退しています。

FOX SportsはF1の放映権も購入していました(2014年10月に発表)。こちらは2016年からの7年契約です。これにより、フジテレビはF1の放映権も失う可能性が高まっていたのですが、こちらもFOXの自滅により防衛に成功しています。実際にFOXはF1中継を行うべく、フジテレビの出演者にも声をかけていたとされます。

2016年からの新しい契約ではテレビとデジタルの権利が分離されたようで、FOXはフジテレビに加え、新規参入してきたDAZNにもライセンスを出しています。FOXの契約が終了した2023年には、両社とも交渉が難航したものの、なんとか延長に成功。開幕2週間前というぎりぎりなタイミングでの発表となりました。


新たな契約は3年で、今年(2025年)までとなっています。こちらについても、また開幕ぎりぎりまで待たされることになるのでしょうか。

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