スカパー、ID強制移行で障害発生。
スカパーは、昨日(8月19日)から「スカパー!メンバーズ」と称し、従来のスカパーとSPOOXのIDを統合しましたが、初日からシステム障害が発生したようです。ID統合に必要な手続きが失敗したり、なんとか完了しても試合が視聴できなかったという報告が相次いでいます。
スカパーからの報告によると、不具合が発生した時間帯は18:35~21:28となっており、とくにプロ野球の試合が始まった18時以降にアクセスが殺到したことがうかがえます。
筆者もID移行を行いましたが、確かにこれは難しい。とくに問題なのは、住所の入力欄で半角数字やハイフンを入れるとはねられるという、正直令和とは思えない仕様になっていることです。とくにサジェスチョンも表示されないので、私も戸惑いました。ここで詰まった人は多数であると思われます。
【追記 8/21】
トラブルシューティングのページができていたので追記します。設計が甘かったとしか言わざるを得ません。カスタマーサポートの方の苦労が伝わってきます。
そこをなんとか乗り切っても、今度はサーバ側に障害が発生していました。当ブログでもこれまでシステム障害の話は幾度となく取り上げましたが、どうしても認証系はアキレス腱となります。
そもそも、ID統合の手続きを行わないと動画が視聴できない仕組みにしていたのは大きな問題だと言えますし、開始日をプロ野球が開催される日に設定したのも問題です。せめて試合のない月曜に設定していれば、混乱を抑えることができたでしょう。
もともと衛星放送の会社であるスカパーが、ストリーミングも含めた総合的なコンテンツ提供企業に脱皮するために、ID統合はいつかやらないといけないことでした。SPOOXは既存のシステムの上に増築する形で作られましたが、いずれはリニューアルする必要があります。しかし、それは企業側の都合であり、ユーザーへのメリットを分かりやすい形で提示する必要があります。
今回はその点において実に甘かったと言わざるを得ません。今後、スカパーから正式に謝罪などが出てくるものと思いますので、その際には追記することとします。
ただ、このようなブログを運営している者としては、権利という視点から「放送と通信の融合」を実現させるのは並大抵のことではないという話もしておきたいと思います。とくに従来のコンテンツは放送を前提とした契約になっているため、配信に使うためには再度の権利処理が必要となってくるケースが多いのです。
スポーツにおいては、放送と配信で権利が切り分けられているケースもあります。他社の事例ですが、WOWOWがオンデマンドでラ・リーガの配信を始めたところ、クレームがついて止められてしまったことがありました。これは、配信の権利をDAZNが持っていたことに起因するものと考えられます。
ちなみにこの件では、WOWOWと放送契約を結んでいる視聴者は引き続きオンデマンドでも視聴できることで決着しています。配信はあくまで放送を補完するサービスだという線引きが行われたわけです。ただ、現在でもネットでの同時配信が許されていないコンテンツは結構あったりします。
スカパーにおいても放送契約者向けの「スカパー!番組配信」と、配信専用の「SPOOX」を別建てで運用せざるを得ないのはそういう背景があります。ID統合をきっかけに、今後は両者のサービスも整理統合されていくものと思われますが、だからと言って視聴者にとってはあまりメリットを感じない話なので、その苦労が伝わることもないのでしょう。
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