WBCとNetflix、電通を「中抜き」か?
テレビ朝日の西新(にし・あらた)社長は、9月30日に開いた定例会見の場でWBCの放映権について発言しました。「今回は金額がわれわれに提示されることなく、米のMLBとネットフリックスがダイレクトに契約した」としており、テレビ朝日が交渉に入る間もなくNetflixに決定したことを明らかにしています。
WBCの放映権については、東京ラウンドの開催権を持つ読売新聞社が「話を聞いてない」という声明を出していましたが、読売は放映権の直接の当事者ではないので、話がないのはまだ理解できます。ただ、テレビ朝日が同様の発言をしたというのは結構深刻な事態と言えます。
さらに不気味なのが、これまでの報道において電通に触れたものがほとんどないということです。第一報にあたるアメリカの報道では電通の名前がありましたが、今回の交渉において電通が関わった形跡がみられないのです。
唯一「週刊新潮」が電通に関する記事を出しているのを確認しましたが、これは電通の業績不振に関する一連の記事の中で出てきたものであり、WBCについても交渉の経緯については触れられていませんでした。日本のメディアには奮起して頂きたいものです。
電通はよく「中抜き」と批判されますが、中抜きという言葉の本来の意味は「中間業者を省く」というものです。電通は「中間マージンを抜く」という意味合いで批判されているので誤用なのですが、WBCの話題となると、電通は本来の意味の「中抜き」をされたことになります。
当ブログでは、NetflixがWBCの試合中にCMを入れる可能性について指摘しています。「広告付きプラン」でなくても、すべてのプランで入るものと筆者は考えています。
電通に限らず、広告代理店は媒体から広告枠を仕入れて、スポンサーに販売するのが仕事です。しかし、Netflixは自ら直接スポンサーに対して広告枠を販売しようとしていると考えられます。これもまた「中抜き」なのですね。コンテンツを仕入れること、そのコンテンツに広告枠を入れて販売すること、両方で中抜きが行われることになります。
ですから、WBCのNetflix独占配信が成功するかどうかは、今後の日本における広告ビジネス全体に関わる深刻な問題なのですね。ただでさえGoogleやAmazonなど外資に広告料を吸われているというのに、今後はNetflixにも吸われていくわけです。
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