【2020年】DAZNが欧州CLの放映権を喪失した件まとめ
概要
DAZNは、UEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)の日本における放映権を、2018-19シーズンから3年契約で獲得した。
しかし、2シーズン目の途中となる2020年、コロナ禍が世界を襲う。世界中のスポーツが停止し、DAZNはたちまち経営危機に陥った。ステイホームによって、NetflixやAmazonプライムなど他のストリーミングサービスが恩恵を受ける一方で、ライブを中心とするDAZNは解約が続出。コスト削減を強いられることとなった。
コスト削減の一環として、DAZNはCLの3年契約を1年短縮することとなった。
背景情報
- DAZNは、日本以外に東南アジアでもCLの放映権を獲得していた。(タイ・ラオス・カンボジア・シンガポール・ブルネイ・フィリピン・台湾)
- アジア以外では、ドイツ・オーストリア・スイス・カナダでも権利を獲得していた。
- 当時DAZNは東南アジアに進出しておらず、今後の進出に向けた足場固めを行っていたと考えられる。
- タイ・ラオス・カンボジア・フィリピンの各国では、当時DAZN傘下だったメディア「Goal.com」を通じて無料で配信を行っていた。他の国では地元のテレビ局にサブライセンスを提供していた。
- Bloombergの報道で、DAZNが「アジア」におけるCL放映権の契約短縮をUEFAに申し入れていることが判明した。
- この「アジア」の中に日本も含まれているのかが不透明であった。UEFAの放映権は基本的に国単位であり、日本と他国がセットになっているわけではないので、すでにサービスを行っている日本の契約を解除する意味はいまだに理解できない。
- その後、DAZNのYouTubeからCL関連の動画が削除されたり、DAZNのWebサイトにCLのロゴがないことなどが判明し、権利を失った可能性が次第に濃くなっていく。
- 朝日新聞の報道により、DAZNが権利を失ったことが確定した。公式なプレスリリースではなく、メディアの取材によって事実が明らかになったことは、多くのユーザーの怒りを買うこととなった。
- DAZNには守秘義務があるため、他社が放映権を獲得したことが明らかになるまでは、権利を失ったことを認められないという事情もある。この時もDAZNが認めたのは「権利を失った」ことではなく、「現時点で権利を保有していない」ことだった。
- 2020-21シーズンの当初は放映権を獲得した会社がなく、グループステージはUEFAの公式サイト「UEFA.tv」によって一部の試合が配信された。
- 決勝トーナメントからはWOWOWが放送。翌21-22シーズンから新たに3年契約が結ばれている。
- 東南アジアではBeIN Sportsが契約した。
- DAZNはその後、グローバル展開と称して世界200か国以上でサービスを展開しているが、東南アジアにおいて日本のように特定のコンテンツを引っ提げて進出することはできなかった。
時系列の流れ
2020年7月27日
Bloombergによる最初の報道。DAZNがUEFAに対して「アジア」におけるCLの放映権契約の早期終了を申し出たという内容。
見出しは「アジア」となっているが、記事で言及されたのは東南アジアであり、この「アジア」に日本も含まれているのかが不明瞭であった。この時点では、すでにサービスインしている日本と、まだできていない東南アジアを同一視するのは疑問だった。
またこの日、日本のDAZNのWebサイトに掲載されていたコンテンツの一覧に、CLのロゴがないことも明らかになった。
2020年7月30日
「NetflixがCLの放映権を購入した」という噂が流れ、日本のサッカーファンが混乱する。内容としてはまったくの誤報だが、なんともタイミングが悪かった。
2020年7月31日
他のメディアより、DAZNが東南アジアにおけるCLの放映権を1年短縮したと報道。ここでも東南アジアとなっており、日本がどうなったかは確定していなかった。
この日、日本のDAZNは2019-20シーズンのCL/ELを決勝戦まで配信すると発表しているが、来シーズンに関する言及はなし。
【配信予定のお知らせ】
— DAZN ダゾーン ヘルプ (@DAZN_JP_Help) July 31, 2020
DAZNは、2019-20シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ及びUEFAヨーロッパリーグを、決勝まで予定通り配信いたします。
配信スケジュールは随時番組表にアップデートされます。
お待たせしており申し訳ございません。
2020年8月7日 (現地時間)
コロナ禍で中断していたCLが再開。決勝トーナメント・ラウンド16の残り試合が開催される。8月23日には決勝戦が開催され、バイエルン・ミュンヘンが優勝。これらの試合はDAZNで配信された。
2020年9月4日
タイ国内リーグの放映権の入札で、DAZNが落札を逃したことが判明。これにより、タイにおけるDAZNのサービス開始はさらに遠のいた。
落札者はタイ国内の企業であるZense Entertainmentと、イギリスのEleven Sportsの連合体だったが、後にZenseが不払いを起こして契約を破棄される。2021年に再入札が行われ、国内通信大手のAISが落札した。
また、Eleven Sportsは2022年にDAZNに買収され、2022年末をもって東南アジアから撤退している。
2020年9月22日 (現地時間)
2020-21シーズンのプレーオフが開催される。UEFAが放映権を管掌しているのはプレーオフ以降だが、DAZNでの配信はなく、権利を持っていないことが濃厚となる。
プレーオフ、およびグループステージの一部の試合については、UEFA公式の「UEFA.tv」がライブ配信を行った。
2020年10月21日
朝日新聞の取材で、DAZN日本法人の広報担当は「現状、日本と東南アジアでCLの権利は保持していません」と回答。昨シーズン限りで権利を失ったことが確定した。
2021年1月14日
WOWOWが、CLの決勝トーナメントを放送すると発表。
2021年6月24日
東南アジアにおける2021-22シーズン以降の放映権をBeIN Sportsが獲得。
2021年7月20日
WOWOWが、2021-22シーズンの放映権を獲得したと発表。3年契約と推定される。
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