【速報】Netflix、WWEの放映権獲得。総額50億$超か。
Netflixは、WWEの放映権を獲得したと発表しました。2025年からの10年契約で、総額50億ドル以上とされる巨大契約となります。
契約内容ですが、まずは「RAW」を2025年1月からアメリカ・カナダ・イギリス・ラテンアメリカなどの地域で独占配信します。それだけにとどまらず、アメリカ国外では他のレギュラー番組であるスマックダウンとNXT、そしてPLE(プレミアムライブイベント)の配信も手がける予定としています。
【追記 1/24 12:30】
ロイターの報道によると、5年終了時に解約可能なオプションが付いているとのこと。
アメリカ国内のメディアだと前者のRAWの配信が強調されがちなのですが、我々にとっては後者のほうが重要な情報です。
Netflixはグローバルでの配信にこだわってきた企業であり、過去にF1への参入が噂された時にもグローバルでの権利を要求していたとされます。もちろん現在結ばれている他社との契約には干渉できませんが、プレスリリースを読む限りでは契約満了した国が順次Netflixへと置き換わり、最終的にはグローバルにまで発展する可能性が秘められています。
それゆえに金額も破格なものとなっています。スマックダウンについては2024年10月からNBCユニバーサルと新たな契約を結んでいますが、5年総額14億ドル程度と推定されています。今回の契約は1年あたりで換算するとその倍近い金額です。
ちなみに、RAWの契約も同様に2024年10月で切れるのですが、今回の発表では2025年1月からとなっています。この空白の3か月についてはとくに情報はありません。現在のUSA Networkが暫定的に継続ということになるのでしょうか。
Netflixは昨年、プロゴルファーにF1ドライバーを交えたゴルフ大会を企画。初めてのスポーツイベントのライブ配信となりました。その後、テニスの大会も配信しています。
これは将来的に大型のスポーツイベントの放映権を獲得するための布石も思われてきましたが、予想外にその答えが早くやってきたという印象です。RAWについては、AmazonやESPNが有力候補とされてきましたが、Netflixの名前はほとんど聞こえてきませんでした。
WWEのいいところはオフシーズンがなく、年間通じてイベントが提供されることであり、サブスクにとってはありがたいコンテンツです。また、これまでスポーツドキュメンタリーに力を入れてきたNetflixとしては、ドラマ性の高いコンテンツは当然親和性が高いです。さらにグローバルで獲得できるチャンスがあるのなら、もう行くしかないといったところでしょう。
日本ではABEMAが昨年10月にWWEの放映権を獲得。RAWとスマックダウンは日本語コメンタリー付きで録画配信。PLEについてはライブ配信しています(一部PPV)。
ABEMAがどんな内容の契約を結んでいるかは分からないのですが、少なくとも現在の契約はそのまま履行されますので、当面の間はそのまま配信されるでしょう。2025年以降、契約が切れた段階でNetflixに移行するものと考えられます。
ただし、Netflixはライブ配信するはずなので、日本語を含む多言語対応をどうするかが気になるところ。リアルタイムに字幕をつける技術も最近は出てきてますし、WWEはブックの存在を公言しているのでやろうと思えばできるのかもしれませんが…どうなんでしょ。そこまで見据えてWWEに目を付けたのであればすごいのですが。
多言語対応が難しいとなれば、録画配信をサブライセンスの形で残す可能性も考えられます。ABEMAが生き残れるとしたらそのルートでしょう。
10年という長期契約でWWEもこの先安泰、と言いたいところですが、筆者としては「GOLFTV」の失敗をどうしても思い出します。2018年、ディスカバリー(現WBD)はPGAツアーと12年・総額20億ドルの契約を結び、アメリカ国外の放映権を獲得しています。
ディスカバリーが新たに立ち上げたGOLFTVは、従来の契約が切れた国から順次サービスを開始していきました。日本はタイミングよく、最初の年(2019年)からサービスが始まったのですが、結果的に2022年でサービスを終了。10年契約は4年で打ち切られたのです。
今回は新たなサービスではなく、Netflixの既存のサービスに乗る形となりますので大きな失敗はないかと思いますが、Netflixの経営が不振に陥るようなことがあれば話は別です。これまで背を向けてきたスポーツの放映権に手を出すこと自体、経営方針の大きな転換であることは確かなのですから、これが焦りにつながらないことを期待したいところです。
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