WOWOW、欧州CL/ELで一部追加課金へ。
欧州CL/ELについて、2024-25シーズンから3年間の契約延長に成功したWOWOWですが、昨日新たな中継方針を発表しました。ちょっとびっくりしたのですが、そこには以下の文言が記載されています。
リーグフェーズ期間中、各マッチデイにおいて視聴対象とならない試合は、WOWOWオンデマンド PPVにてマッチデイ単位で追加試合パス(定価:税込500円)を販売いたします。追加試合パスの販売開始時期およびその対象試合の決定は、リーグフェーズ組み合わせ抽選会の実施後を予定しており、WOWOWオンラインやWOWOWオンデマンドでお知らせいたします。
今回から大会のフォーマットが変わり、試合数も大幅に増加するのですが、通常のWOWOWの契約(テレビまたはオンデマンド)では全試合中継ではなくなります。その分はオンデマンドでのPPV配信となり「追加試合パス」なるものを購入する必要があります。
なお、欧州CL/ELに特化した「CL・EL 2024-25シーズンパス」では全試合配信されますので、追加試合パスの購入は不要です。その代わり他のコンテンツは視聴できず、またBS放送での視聴もできません。
試合数が増えたことで放映権料も増加することが予想され、かつ円安も重なったことで今回の契約はかなりずれ込みました。他社への移動も充分考えられた状況で、まさに「死守」と言ってもよいかと思います。しかし、このような施策は正直なところ「後出し」と批判されて然るべきでしょう。
WOWOWはサッカー以外にもテニス・ボクシング・女子ゴルフ・NBAとスポーツ中継が充実しており、またスポーツだけでない総合編成を売りとしたチャンネルですから、サッカーだけに特化したパックを販売するのは従来の方針に反する面もあります。
昨シーズンは契約最終年でしたから、なんとか最後まで換金しようという意思が感じられましたが、新たな契約の初年度からこうなると、早くも無理をしてないかと不安になってきます。
WOWOWは、これもまた契約がぎりぎりになりましたが、EURO本大会の放映権も死守しました。しかし、その直後にABEMAも契約を発表し、しかも全試合無料配信という思い切った策に踏み込んでいます。WOWOWと連携をとっているという説もありましたが、やはりWOWOWにとっては旨みがありません。不本意な展開だったと考えられます。
今年新たに始まった「ABEMA de WOWSPO」でも欧州CL/ELを配信予定ですが、今回のプレスリリースでは具体的な試合数などに言及はありません。今後の発表を待つしかありませんが、微妙な空気が漂います。
6月の加入件数は、前月からマイナス12,076件と発表されています。前回EUROが開催された2021年6月はプラス67,017件、前々回の2016年6月はプラス59,024件でした。マイナスというのは結構な衝撃です。
もちろん、先のシーズンパスを購入してEUROを視聴した人が多かったと考えられます。具体的な販売数は未公表ですが、山本社長の定例記者会見でも「販売は順調に推移」との発言がありました。
6月15日に開幕したUEFA EURO 2024™については、当社が持つ権利をフル活用し、多層的な体験につながる企画を展開している。具体的には、9月に開幕するチャンピオンズリーグ・ヨーロッパリーグで販売予定だったシーズンパスを前倒しにし、UEFA EURO 2024™と併せてキャンペーン価格での発売を決定した。前回まではUEFA EUROのみの加入獲得方針だったが、今回はチャンピオンズリーグとセットでサッカーを最大限楽しめるシーズンパスを発売する初めての試みとなる。この施策の効果によって、販売は順調に推移している。
しかし、シーズンパスが多く売れれば売れるほど、逆にサッカーしか観られていないことが浮き彫りとなってしまいます。それゆえに今回の価格設定になったと思われますが、WOWOWとしては苦しいところです。単独のコンテンツだけで収支を合わせるというのは、長期的に持続するビジネスとは言えないでしょう。
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