U-NEXTのATP配信でTennis TVが提供終了へ。

先日速報でお伝えした、U-NEXTが来シーズンからテニス・ATPツアーの放映権を獲得した件について、いくつかアップデートです。


まず、ATP公式のストリーミングである「Tennis TV」ですが、有料(プレミアム)会員の方向けにメールが届いているとの情報をいくつか頂きました。借り物の画像で恐縮ですが、これによると2024年末をもって、新規の申し込みを停止するとのこと。


つまり、年間契約をしている方については、現在の契約期間が切れるまで視聴可能ですが、それ以降については日本向けのサービスが停止されることになります。無料アカウントで視聴できる動画については引き続き視聴可能です。

これにより、U-NEXTとATPが結んだ契約は、WOWOW・GAORAの放送を終了させ、公式のTennis TVにも影響を及ぼす、強い意味での「独占」であることが明らかとなりました。最近は公式のストリーミングと共存させるケースも増えているので、意外な感もあります。これだけの独占を実現させるためにはそれなりの金額を積む必要があったかと思いますが、現時点で金額などの情報は明らかになっておりません。


こうなると、従来Tennis TVが配信していた試合についてU-NEXTでも引き続き配信されるかがテニスファンにとって大きな懸念となります。そこは権利を獲得した側の責任でもありますので、きっちり提供してくださることを期待します。

U-NEXTのプレスリリースに掲載された配信予定の大会に、ジャパンオープンが含まれていないことを指摘する声もありました。代理店であるIMGのWebサイトを参照すると、IMGが販売している放映権には開催国を除く(excl. host country)という記載がありますので、現時点ではラインアップされていないのでしょう。

今年(2024年)開催されたジャパンオープンの大会概要をみると、オフィシャルブロードキャスターとしてWOWOWの名前が掲載されています。つまり、WOWOWはATPツアーの権利とは別にこの大会の権利を獲得していることになります。


今後はおそらく主催者である日本テニス協会の裁量で決まるものと考えられます。WOWOWとの既存の契約が残っていればそれが優先されますし、新たに契約するとしても、WOWOWとの長年の関係を尊重して、2025年以降も継続する可能性はおおいにあるでしょう。

グランドスラム(四大大会)についてはWOWOWが継続する見込みです。WOWOWのWebサイトには「2025シーズンはグランドスラムを生中継いたします」との文言があり、少なくとも2025年は現行の契約が継続することになります。


今後については、契約が切れるものから順次再交渉されることになります。グランドスラムの放映権もIMGが代理店ですので、U-NEXTとの関係が今後も良好であれば移動する可能性もあります。ただ、販売する側としては1社にすべて独占させるよりも、競合があったほうが売上を増やせますので、2社を使い分けていく方針になるかもしれません。

将来的な話をひとつしておくと、女子のWTAツアーについても動きが出てくるかもしれません。WTAは、DAZNの前身であるPerform Groupとパートナーシップを結んでおり、合弁会社「WTA Media」が映像制作と放映権の管理を行っています。この契約は2026年まで継続するとされています。


さらに、2025年にはATPとWTAが商業部門を統合するという報道があります。これが実現すると、2027年以降は両者の放映権が一括して販売される体制に移行するものと考えられ、DAZNの契約延長は厳しいでしょう。WTAよりATPのほうが規模が大きいことから、IMGが主導権を握ることになりそうです。


日本ではDAZNがWTAを配信しているのは上記の関係によりますが、彼らにとってはWTAの売上を最大化させることが命題であり、別に他社に販売してもよいのです。契約が残り2年となり、手元に置いておくより少しでも有効活用したいと考えるならば、U-NEXT等にライセンスする可能性もあり得るでしょう。

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