DAZNボクシングからPPV撤廃へ?トゥルキ氏動く。

サウジアラビアの総合娯楽庁長官で、いまや世界のボクシング界を牛耳る存在となっているトゥルキ・アルシェイク(Turki Alalshikh)氏ですが、DAZNのシェイ・セゲフ(Shay Segev)CEOと行った会談の場で画期的な提案を行ったとのこと。ボクシング界では当たり前だったPPV(ペイパービュー)によるビジネスモデルを廃止するというのです。

対象となるのは、トゥルキ氏の傘下にある「リヤド・シーズン」と「ザ・リング」誌の名前を冠した興行で、今年11月以降に開催されるものです。年末にはリヤドシーズンの興行として、井上尚弥選手らの出場が計画されていますが、これも対象になりそうです。

もともとDAZNは、PPVを「時代遅れ」だと批判していた立場でした。カネロ選手と巨額の契約を結んだ際にも、PPVではなくサブスクで配信を行っていました。


しかし、カネロ選手とは訴訟に発展する事態となり、喧嘩別れの形で契約は打ち切りとなりました。コロナ禍によってDAZNは経営危機に陥り、また経営者も交代しました。そんな事情が重なり、2022年には従来の主張を撤回し、PPVを導入することとなったのです。


サブスクで安定した収入を得るためには、定期的なコンテンツ提供が欠かせません。かつてのDAZNがうまくいかなかった理由のひとつでもあります。現在のDAZNは、トゥルキ氏とのタッグのほか、マッチルーム、ゴールデンボーイ、クイーンズベリーといったプロモーターと契約しており、潤沢な量のコンテンツを提供できる環境にあります。これらがトゥルキ氏の構想に賛同を示せば、PPVからサブスクへの転換が一気に進むことになります。

ただ、トゥルキ氏とDAZNのあいだには食い違いもみられます。トゥルキ氏はXで"free to DAZN subscribers"、すなわち従来のサブスクの中で追加料金なしで提供すると発言していますが、それに被せる形でセゲフ氏は「The Ring Pass」と称する新しいサブスクのパッケージを導入するとしています。

https://x.com/Turki_alalshikh/status/1945573428582650255

https://x.com/DaznSegev/status/1945639091376418848

DAZNの公式Xも、7月19日(土)深夜に開催されるウシクvs.デュボア戦の宣伝ポストにおいて"The Ring Pass"に言及しています。

https://x.com/DAZNBoxing/status/1945816292528680967


この形式をとるということは、"NFL Game Pass"などと同様にこれ単独で契約できるものと考えられますが、通常のサブスク契約者に対する扱いについては触れられていません。日本の「DAZN Baseball」のように、通常契約でもすべてのコンテンツが視聴できるのであれば、トゥルキ氏の言った通りの形になるのですが、正式発表を待たねばなりません。


なお、ウシクvs.デュボア戦はクイーンズベリーの興行で、引き続きPPVでの配信となっていますのでご注意ください。(日本では3,100円)

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