【検証】なんか適当なFRIDAYの記事。

例の話題になっているFRIDAYデジタルの記事の内容検証です。こんなブログをやっている筆者から見ると、ちょっと適当じゃないか?と思うところが正直多いです。

気になったところにいくつかコメントを入れる形で検証してみます。
今年1月25日に唐突に発表された値上げだが、実際は違う。綿密な計画があったものと推測される。多くの民放関係者が「3月24日を〝意識〟した値上げに他ならない」と断言する。
今年に入って日本だけでなくドイツやスペインでも値上げが発表されています。ですから、日本に限った話ではなく各国で投資から刈り取りモードに移っているのです。

昨年暮れには親会社にあたるAccess Industriesから資金調達を行い、また年明けには経営陣を刷新しています。

入念に値上げの準備をしていたであろうことは分かりますが、日本の代表戦の日程に合わせたとは考えづらいです。

それでも日本独自の事情を考慮するなら、Jリーグの開幕に合わせたと考えるほうが自然でしょう。その他にもNPBやF1の開幕も控えています。

年額プランが用意されましたが、これは他国でも導入しているものです。プレミアの放映権が今季までの契約であることはすでに周知されており、また来季の入札は値上げ発表とほぼ同時期に開催されているため、発表時点で結果がわかっていたわけではありません。

なのでこの点はあえて(日本の)DAZNを擁護したいな…と思います。本社の意思に従わざるを得ない外資系の悲しみです。
複数の関係者の話を総合すると「DAZNの日本での加入者数獲得目標は約300万人、現在確実に到達しているのは150万人程度」ではないかと思われる。この推定が合っていれば、300万人が加入すれば損益分岐点に到達するが、現状では半分しか到達していない、ということなのだという。
損益分岐点が300万人というのは以前日経新聞にも出ていた数字です。会員数については170万人程度という報道もありました。もちろん季節によって変動がありますから、どの時点の数字をみるかでも違いが出てきます。

DAZNの2020年の決算では、アジア太平洋地域におけるOTTサービスの収入が約2億ドルとなっています。そのほとんどが日本向けとみてよいでしょう。当時のレートだと210億円程度になるでしょうか。

それを年間の顧客単価で割ればおおよその会員数が推定できますが、2020年はコロナ禍で大きなダメージを受けた年であり、単価の推定は難しいです。

月額は1,925円ですが、平均の契約期間は8か月あればいいところか。それに年間パスやDAZN for docomoなどの割引を受けている人を加味すれば、顧客単価は15,000円を割ってきそうです。その場合、会員数は140万人という推定になります。

それから1年がたち、少しは回復してるかと思います。日本代表戦も少しは貢献してるかもしれません。なので、150~200万人の間と考えるのがよいかと思います。

損益分岐点は値上げによって数十万人の規模で下がるものと推定されます。もしプレミアの権利を逃せばさらに下がります。もちろん顧客は流出しますが、コストとの兼ね合いです。
『Access Industries」は追加で2億5000万ドル(287億ドル)の新株を引き受けたことになっている。これだけの豊富な資金がありながら、それでもDAZNはなぜ、値上げを断行して契約者(加入者)からの支払いを求めたのだろうか?

親会社にあたるAccess Industriesからの資金はおもに債務の解消に使われました。ですから、いままでと同じ経営を続けて再度債務を膨らませるわけにはいきません。

「豊富な資金」があったのはもはや過去形だと思ったほうがいいでしょう。経営を健全化させるために値上げは不可避でした。

DAZNからのコメントも掲載されていますが、これも他のメディアにあるものとたいして変わらず、新味に欠けます。
DAZNは主軸コンテンツのひとつだった、英・プレミアリーグの放映権契約を更新できず、今季で終了になる。かわりに韓国の定額制動画配信サービスを行う「エクラ・メディア・グループ」が日本を含むアジアの放映権を獲得したという。

「日本を含むアジア」と書かれていますが、いまのところ日本と韓国のみです。まだ判明してない国を合わせてもさほど増えることはないでしょう。

同時に14の国・地域で入札を実施しているため、それと混同しているものと思われます。実は、FOOTBALL TRIBEというメディアが以前同様の間違いをしています。このメディアも正直適当だな…と思ってますけど、それと同レベルです。もしくは孫引きした可能性も否めません。

この入札で韓国のEclat Media Groupに競り負けたであろうことはほぼ確実なのですが、サブライセンスなどの可能性も残されており、DAZNが来季プレミアを配信しないことが確定したわけではありません。これもまた誤解を招く記述ではないかと。

来季についてはSPOZONE改めSPOTV NOWから近々発表があることでしょう。その際に独占の2文字が含まれるかどうかです。
7大会連続のW杯出場をかける日本代表が万が一、本大会出場を逃すようなことが起きれば、DAZNにとってはキラーコンテンツのひとつを失うことになる。
DAZNは本大会の放映権を持っているわけではありません。既報ではNHK・フジテレビ・テレビ朝日、そしてABEMAが加わると言われています。

※ちょうど本日、NHK・テレ朝・フジの放映権獲得が発表されました。

もちろん本大会出場を逃せば、日本におけるサッカー人気が冷え込み、DAZNにとってもダメージを負うことになりますが、キラーコンテンツとはなにを指しているのでしょう。それともまだ隠している情報でもあるのでしょうか。
サブスクである以上、継続してコンテンツを提供していくことが求められます。1試合を目当てに契約した人の多くは、その試合が終われば出ていくことでしょう。

サッカーに限った話ではありませんが、スポーツの魅力を伝え、顧客に定着してもらうことが大切です。派手な施策はひと通り打ちました。今後は赤字を最小限に食い止めつつ、地道にファンを広げる施策を考える必要があります。その点では2028年まで契約を有するJリーグが今後も軸と言えるでしょう。

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