【2024年】放映権10大ニュース・海外編解説

【第10位】プレミアリーグとFAカップが放映権のセット販売を開始

プレミアリーグとFAカップは今年4月に新たな協定を結び、試合日程を調整するほか、国外において放映権の共同販売に乗り出しています。2024-25シーズンから新たなサイクルとなるFAカップと、2025-26シーズンからのプレミアリーグ。お尻は同じですが、開始時期が1年ずれている放映権をセットで入札にかけることになったのです。

その最初のターゲットとなったのが日本および韓国でした。おかげでプレミアの入札が前回よりも8か月ほど前倒しとなり、混乱が生じました。結果として、日韓ともにSPOTV NOWが敗れ、日本ではU-NEXT、そして韓国ではクーパンが落札したのです。

【第9位】ブンデスリーガ、サポーターの猛抗議で投資受け入れを断念

ブンデスリーガは、投資会社のCVCキャピタル・パートナーズから10億ドル規模の投資を受け入れる予定でしたが、サポーターの猛抗議によって断念することに。投資自体はすでにラ・リーガやリーグ・アンなどが受け入れているものですが、ドイツでは大資本の参入を許さない文化が根付いていました。

【第8位】NFL、サンデーチケット訴訟で47億ドルの賠償命令も逆転勝訴

現在はYouTubeによって販売されている、NFLの全試合を(アメリカ国内で)視聴できるサービス「NFLサンデーチケット」をめぐって、消費者による集団訴訟が提起され、NFLに47億ドルの賠償を命じる判決が下されたのですが、その後NFL側の異議申し立てが通り、逆転勝訴となっています。

サンデーチケットの価格は年間で349ドル~となっており、大変高額であることは確かです。YouTubeはNFLに年間20億ドルを支払っているとされます。今回はNFL側の勝訴で終わりそうですが、高くなりすぎた料金の是正を求める声は今後も止まないでしょう。

【第7位】米ストリーミング「Venu Sports」のサービス開始が差し止めに

ディズニー・WBD・FOXの3社は、スポーツコンテンツをまとめた合弁会社を設立。9月にも「Venu Sports」という名称でサービスを開始する予定でしたが、インターネットテレビ大手のFuboTVから申し立てのあった仮処分が認められ、開始が差し止めに。

3社のコンテンツがまとまって見られるのはメリットですが、料金はさほど安くなるわけではありません。またスポーツを分離することは、他のコンテンツも含めて料金を徴収しているビジネスモデルを自らひっくり返すリスクもあります。現時点でサービス開始のめどは立っておらず、また別の合従連衡の動きが出てくる可能性もあります。

【第6位】DAZN、リーグ・アンとブンデスリーガの国内放映権を獲得

リーグ・アンの次期放映権(2024-25シーズンから5年間)は、開幕が近づく7月になってようやく決着。DAZNとbeIN Sportsの2社が獲得しました。放映権料は年間5億ユーロで、従来の5.8億ユーロから減っています。

また、ブンデスリーガの次期放映権(2025-26シーズンから4年間)についても、DAZNが入札結果を不服として提訴する事態に発展。再入札の結果、DAZNとSkyの2社が獲得しています。放映権料は年間11.21億ユーロで、現在の11億ユーロから微増です。

この結果、DAZNはいわゆる欧州5大リーグにおいて、プレミアリーグを除く4リーグの放映権をそれぞれの国内で獲得したことになります。また、ベルギーリーグについても契約の更新に成功しています。

【第5位】旧Bally Sportsの再建案が承認

昨年3月に始まったBally Sportsの債権処理は、20か月後の今年11月に終結しました。新たなネーミングライツ先を迎え、名称を「FanDuel Sports Network」に変更しています。

MLBのローカル放映権は、破綻時の14球団から7球団と半減しましたが、Amazonとも提携し全球団のストリーミングの権利を押さえました。NBAは13球団、NHLは8球団と契約しています。

【第4位】サウジマネーがボクシング界席捲。サッカーでもW杯招致決定

今年もサウジマネーが暴れまくりました。ボクシングでは「リヤド・シーズン」の一環で数々のビックマッチを誘致。米英のプロモーターと協調関係を築き、専門誌「ザ・リング」を買収するなど、世界のボクシング界を牛耳る存在に上り詰めています。

サッカーでもaramcoがFIFAワールドカップの公式スポンサーとなり、年末には2034年のワールドカップを開催することが決定しました。

一方でLIVゴルフの人気は上がらず、PGAツアーとの統合話は停滞ぎみ。サウジ以外で開催されるイベントの投資は抑制する方針で、選択と集中が進むと考えられます。

【第3位】DAZN、2025FIFAクラブW杯をグローバルで無料配信

DAZNは、2025年に新フォーマットで開催されるFIFAクラブワールドカップの放映権を獲得。グローバルが対象で全試合無料配信するとのこと。放映権料は10億ドルと言われています。

また、この契約には「FIFA+」をDAZNと統合することが含まれており、むしろそちらが本命との見方も。経営が厳しいと言われているDAZNにとっては超大型の投資案件ですが、サウジが資金源のバックにいるとの噂もあり、今後投資を受け入れる可能性もあります。

【第2位】NBAの次期放映権が確定。Amazon・ディズニー・NBCの3社に

NBAの次期放映権の契約がまとまり、11年契約で総額760億ドルとなりました。アメリカではMLBを上回り、NFLに次ぐ2番目のプロスポーツとなりました。

2025-26シーズンから発効する新契約には、アメリカ以外の権利も含まれています。日本では現在楽天が権利を持っていますが、来シーズン以降の動向が注目されるところです。

【第1位】Netflix、ライブスポーツ本格参入。WWEなどと契約

ストリーミング界で最後にして最大の巨人が動き出した年となりました。Netflixはこれまで独自企画のイベントではライブ配信を行っていましたが、来年からアメリカでWWE「RAW」の放映権を獲得し、スポーツ放映権市場に本格参入を果たしました。

クリスマスにはNFLの2試合を配信。そして暮れにはFIFA女子ワールドカップの独占放映権を獲得というニュースが入ってきました。現時点ではアメリカのみが対象ですが、今後他国にも広がっていくかが注目されます。

その一方で、11月に配信したボクシングのタイソン戦では障害が発生。さすがのNetflixもライブ配信のノウハウはまだ蓄積されていないようで、今後さらに規模が大きくなった際の対策が急がれています。

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